「体操したくなる絵本」に英仏語版 新潟大研究室、アフリカで普及へ
新潟大学(新潟市西区)の研究室スタッフが作成した「子どもたちが体操したくなる絵本」に、このほど英語版とフランス語版が加わった。活動の趣旨に賛同した大手電子機器メーカーの支援を受けて制作した。研究室ではまず、アフリカの子どもたちへの普及を目指したいという。
絵本を作ったのは、同大学院を昨春修了した山崎幸歩さん(27)=同市西区。健康的な社会基盤の整備などを研究室のテーマに掲げる村山敏夫准教授(51)の指導を受け、現在も研究員として所属している。
「たいそうだいすき! タッピー」と題する絵本には、主人公でサルのタッピーや、キリン、ウサギ、トラなどが、さまざまなポーズで登場する。片足立ちのまま頰に指を当てたり、指先が地面に届くまで腰を曲げ、両足の間から顔をのぞかせたり……。どれも現代の子どもたちが苦手なポーズだといい、絵本の動物たちの動きをまねることで自然と体を動かせるように工夫した。
山崎さんは絵本の「読み聞かせ」と「体操」を組み合わせた健康教育プロジェクトを手がけたことがあり、そこでの知見を生かしたという。
最初に作った日本語版は、制作にあたり、昨年3~5月にクラウドファンディングで寄付を呼びかけた。すると、目標額の215万円を上回る245万円の支援があり、今年3月、3千部を発行した。
日本語版制作中、外国語版制作の話が持ち上がった。きっかけを作ったのは南アフリカからの留学生ハヨ・リンディさん。健康教育プロジェクトのメンバーで、電子機器大手セイコーエプソン(長野県諏訪市)の途上国支援の担当者とつながりがあった。
リンディさんが山崎さんの取り組みを紹介すると趣旨に賛同してくれ、費用面で支援を受けられることになったという。
作ったのは英語と仏語の2種類で、各500部。A4判よりやや大きいサイズでいずれも32ページある。翻訳はリンディさんを含むプロジェクトメンバーらが手掛けた。植物の芽が伸びる「ニョキニョキ」や変身ポーズの「シャッキーン」、飛び上がる際の「ピョーン」などを表現するのには難しさが伴ったという。
表紙には、山崎さんとリンディさんが南アフリカを訪れるなどして両国の子どもたちに共同制作してもらった、ちぎり絵のカラフルな太陽をあしらった。「両国の架け橋となるような絵本をめざした」と山崎さん。
山崎さんは「読み聞かせは、親子の大切な時間であり、読み手と聞き手とのコミュニケーションなのは世界共通。子どもたちにそんな安全で安心できる環境で体を動かす機会を提供したい」と目を輝かせる。
同研究室ではリンディさんの仲介で日本の保育園児と南アフリカの子どもたちのオンライン交流会を続ける。まずはフランス語圏の多いアフリカを中心に絵本を使った交流を進め、その後は英語圏への拡大も視野に入れる。
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