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国民全員に現金5万円給付、政府・与党が検討 米関税措置など踏まえ

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 政府・与党は9日、物価高や米トランプ政権の関税措置による影響を踏まえた経済対策の一環として、国民向けの現金給付を実施する方向で調整に入った。所得制限は設けず1人あたり5万円を給付する案が浮上している。財源を確保するため今年度補正予算案を編成したうえで、6月に会期末を迎える今国会での成立を目指す。

 複数の政権幹部が明らかにした。石破茂首相は想定を超える米国の関税措置を「国難」と位置づけてきた。物価高も続く中、早期の対策が必要だと判断した。こうした状況を踏まえて首相は近く、今年度補正予算案に盛り込む緊急経済対策の策定を指示する考え。林芳正官房長官も9日、自民党小野寺五典政調会長に対し、党としての対策を早急にとりまとめるよう要請した。

 政府は、物価高によって国民…

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    亀田制作
    (SOMPOインスティチュート・プラス)
    2025年4月9日20時9分 投稿
    【視点】

     このニュースが本当なら、日本のマクロ経済対策は、いつからこれほど貧困な発想に陥ってしまったのでしょうか。この5年間、新型コロナ対策、物価高対策、子育て支援、そして今回の関税対策と、看板だけを付け替えながら、中身は単なるバラマキに近い財政支出が正当化されてきました。  関税が物価に与える影響は、需要と供給、どちらに大きなインパクトが及ぶかによって異なります。現時点では、米国を含む世界の景気後退リスクが深刻に懸念され始めており、原油や銅などの国際商品価格も大幅に下落しているため、インフレ低下ルートが強く意識されています。もっとも、時間が経てば、関税による米国内のコスト高が他国に転嫁されていく可能性や、米国に限らずグローバル企業がサプライチェーンを見直すこと(貿易相手国の再選定や、原料調達・直接投資先の分散化など)に伴う移行コストの増加が、世界のインフレを再燃、あるいは高止まりさせる可能性もあります。さらに、そうしたグローバルインフレが再び日本の物価にストレートに波及するかどうかは円の為替レートにもよります。  このような、関税が国内景気や物価に与える様々なシナリオや径路の検討、見極めなしに、早々と現金給付という対症療法に走ってしまうのは、もう日本政治の条件反射のようなものなのでしょうか。人に例えれば、実際にケガをする前から絆創膏を貼ることを考えているようなものです。  どうすれば致命傷を負わずに済むか、ケガを再びしないよう足腰を鍛え直す方が良いのではないか、ケガから復帰しようとする人を後押しするにはどのような動機付けや公共サービスが必要か。現状に至った原因や状況を客観的に分析していけば、その結論次第で、どのような経済対策が適切なのかは見えてくるはずです。政治リーダーの背後に経済ブレーンの存在を感じないのは、米国だけでなく日本も同じですね。

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    鈴木一人
    (東京大学大学院教授・地経学研究所長)
    2025年4月10日0時51分 投稿
    【解説】

    どういう理屈に基づいているのかわからないが、米国の関税措置で最も大きな影響を受けるのは、米国に輸出する業者であり、誰もが一律に被害を受けるわけではない。にもかかわらず、個人に一律現金給付するということが理解できない。それだけの財源を使うなら、もっと有効な対処があるのだと思うのだが。物価高になれば全員に影響があるとはいえ、それ以上に日本経済を支えてきた経済活動を救う方が先なのだと思う。この辺の優先度の付け方が全く理解できない。

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