もはやプーチン「皇帝」か 大統領選の歴史的な圧勝劇、くすぶる不満

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 3月に行われたロシア大統領選は、プーチン大統領が87%の得票率で圧勝した。「終身大統領」としての地位をほぼ確実にしたとも言えるが、盤石に見える体制の裏側では、政権への不満や社会の閉塞(へいそく)感が色濃く漂っている。

 大統領選の初日、モスクワの投票所に入って驚いた。投票箱が透明のプラスチックで、しかも投票用紙の多くが折られておらず、誰に投票したのか丸見えだったからだ。

 自らを「ロックスター」と名乗るアレクサンドルさん(59)は、プーチン氏に印をつけた投票用紙を自分の顔と並べてスマホで撮影し、投票箱に入れた。「投票したとブログに投稿したかった。私は愛国者なんだ」

 今回の選挙は、事前にプーチン氏当選という結果が出るのが明らかだった。緊張感に欠け、投票先を誰かに隠す必要もない、ロシア社会の空気を如実に表していた。

「ロシアは君主制であるべき」

 近くの公園で散歩をしていた…

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    服部倫卓
    (北海道大学教授=ロシア・東欧)
    2024年4月15日12時38分 投稿
    【視点】

    記事には「政権への不満や社会の閉塞感が色濃く漂っている」とある。まあ、そのとおりだろう。 ただ、2011~2012年の時点で、それは明らかだった。本来であれば賞味期限が切れた体制を、延命して、今日に至るわけである。 その最大のカンフル剤が、

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    駒木明義
    (朝日新聞論説委員=ロシア、国際関係)
    2024年4月15日15時12分 投稿
    【視点】

    「プーチン大統領は最近『不死身のコシチェイ』と呼ばれているんです」。ロシアの知人からそんな話を聞きました。不死身のコシチェイ、ロシア語ではКощей Бессмертныйは、ロシアの伝承に登場する悪役です。不思議な力を持つ、骨と皮のように

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