家族の一体感、同姓じゃなくても… 最高裁判事、夫婦別姓認める意見

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阿部峻介
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 夫婦別姓を認めない民法などの規定によって法律上の婚姻ができず精神的苦痛を負ったとして、事実婚の7人が国に賠償を求めた訴訟で、最高裁第三小法廷は23日までに原告側の上告を退けた。賠償を認めない点で裁判官5人全員の意見が一致するなか、2人は「規定は違憲」とする個別意見を書いた。

 そのうちの1人の渡辺恵理子裁判官は弁護士出身で、仕事では旧姓の「渡辺」を通称として使っている。最高裁判事に就任した昨年7月の会見では、選択的夫婦別姓への考えを問われて回答を控えた一方、「若い世代の女性たちの礎となりたい」と語っていた。

 今回の決定文では、渡辺裁判官の意見が内容の大部分を占めていた。要旨は、以下の通り。

「氏名は個人が生きてきた歴史、人生の象徴」

 私は、上告棄却という結論において多数意見に賛同するが、夫婦同姓を定める民法750条と戸籍法74条1号の規定は憲法24条(婚姻の自由)に違反すると考える。

 「氏」は「名」と一体をなし、氏名は個人を識別する重要な機能を有し、年月の経過に伴い人格を表すものとしての意義をさらに深めていく。氏名は個人が生きてきた歴史、人生の象徴ともいうべきもので重要性が極めて高く、個人の尊厳として尊重されるべきだ。

 憲法24条は、旧憲法下の「…

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    菅野志桜里
    (弁護士・国際人道プラットフォーム代表)
    2022年3月24日17時55分 投稿
    【視点】

    「自民党以外全員賛成」の(選択的)夫婦別姓制度。 渡辺恵理子最高裁判事の個別意見を興味深く読みました。 同姓婚をするにしても、「それを選ぶ」のか、「それしかない」のかでは違う。選択的夫婦別姓の導入が叶える個人の尊厳は、別姓婚を望む人の尊

    …続きを読む