【そもそも解説】日本学術会議、何が問題に? なぜ法人化するの?
「学者の国会」とも呼ばれる「日本学術会議」を国の機関から切り離し、法人化する法案が7日、閣議決定されました。学術会議の成り立ちや、首相による「会員任命拒否」の問題、海外のアカデミーについて解説します。
Q 日本学術会議はどういう組織?
A 日本の科学者を代表する機関として、戦後まもない1949年にできた。日本学術会議法を根拠とし、科学が戦争に動員された反省から、政府から独立して仕事を行う、国の「特別機関」と定められている。国の政策への科学的観点からの助言などを行う。
これまでに、原子力の研究開発をめぐって「公開・民主・自主」の三原則を決議し、これが国の原子力基本法に採り入れられたりしたほか、南極観測や地震研究、宇宙開発など、政策に大きな影響を与える勧告を出してきた。
Q どんな人たちが会員なの?
A 会員は210人で、人文・社会科学系、生命科学系、理学・工学系の3分野で各70人。任期は6年で、3年ごとに半数が交代する。2023年10月から、ロボット工学が専門の光石衛・東京大名誉教授が会長を務めている。
Q なぜ国から切り離す必要があるの?
A 政府の有識者懇談会で議論をした結果、学術会議の機能について、「政府などに対し、独立した立場から客観的で学術的・科学的な根拠にもとづく助言をすること」と説明している。助言の内容が政府の方針と一致しない可能性もあるため、可能な限り高い独立性を保つべきだとした。
今回閣議決定された法案が国会で成立すれば、来年10月に「国の特別の機関」から「特殊法人」に移行する。学術会議の機能強化も盛り込んでおり、210人の定員を段階的に250人に増やすほか、70歳の定年を75歳に延ばし、任期は6年のまま1回だけ再任を認める。国による活動資金の補助も続ける。
新法人に移行後も政府に対する「勧告権」を残し、主要な役割を維持しする内容だ。
「懸念は払拭されていない」
Q 学術会議側はどう考えているの?
A 法人化については反対も…
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