30年ぶりに現れた元万引き少年 駄菓子屋の「おばちゃん」の涙

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伊藤未来
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 入学式の季節になると、小さな駄菓子屋には、期待に胸を膨らませた新入生がやってくる。

 福岡県朝倉市の「長野商店」。小学校のそばにある10畳ほどの店には、風船ガムやスナック菓子がずらり。

 「おばちゃん」と慕われる長野恵子さん(87)は60年以上、何人もの新入生を迎え、巣立ちを見送ってきた。

 あの子も、そのひとりだった。

 「おばちゃん、元気にしとった?」

 2022年ごろ、見覚えのある「お兄さん」の姿に長野さんはびっくりした。約30年ぶりの対面。懐かしくて、昔話に花が咲いた。

 「ずっと来たいと思ってたばってん、寄られんやった……」

 急に切り出された言葉に、驚いた。

 「どうして?」

 聞くと、申し訳なさそうにぽつりと言った。

 「小学1年生の時、店のお菓子を盗んでしまって。来たいと思っても来れんやった……」

差し出した1万円札

 おそらく10円ほどのお菓子…

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この記事を書いた人
伊藤未来
千葉総局|千葉県政担当
専門・関心分野
社会福祉、医療、教育
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    西岡研介
    (ノンフィクションライター)
    2025年4月14日11時8分 投稿
    【視点】

    そうか、駄菓子屋さんはその昔、子どもたちにとっての「セーフティネット」であり、地域の「インフラ」だったんだな……と、自分の子どもの頃を思い出しながら、読みました。

    …続きを読む