理想とは違う毎日…イライラママでごめんね、これからも頑張ろうねの思いを込めて、家族に

フラワーアーティストの東信さんが、読者のみなさまと大切な誰かの「物語」を花束で表現する連載です。あなたの「物語」も、世界でひとつだけの花束にしませんか? エピソードのご応募はこちら。
〈依頼人プロフィール〉
押木あすかさん(仮名) 33歳
看護師
福岡県在住
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夫とは、コロナ禍にマッチングアプリで出会いました。
1年交際→半年同棲→結婚&妊娠発覚→出産……。気がつけば息子は1歳になって保育園に通い始め、私も仕事復帰して子育てと、家事と、仕事の毎日を過ごしています。
ここ数年、本当にあっという間でした。そうやって毎日が、大急ぎで過ぎていくせいかもしれません。ずっと望んでいた結婚や育児が現実になって、私は幸せなはずなのに……忙しくてイライラしてばかりです。
夫にも息子にもたびたびイライラをぶつけてしまい、そのつど反省するけれど、またすぐにイライラ……。息子が「ママ、ママ」と来てくれるのが、愛おしくて、うれしくて。なのに、「パパのところに行って」と思ってしまうことがあります。
夫も気を遣っていろいろと手伝ってくれるやさしさは、痛いほどわかっています。なのに「私の方がたくさんしてるのに……」と思ってしまう。SNSで子育てのアドバイスなどを読んでいると、「疲れた時は家事は休んでしまえばよい!」と書いてありました。でも家事を休んだ分の家事は、結局私に降りかかります。「汚い部屋に目をつぶって!」とも書いてありました。汚れたところに目がいって、余計に疲れとイライラが増します。
女性ホルモンの影響なのか、はたまた、私の元来の性格が問題なのか……。思い描いていた理想の生活とはかけ離れた生活に、またイライラしてしまうループです。
とはいえ私は、そんな生活に後悔はしていません。息子は目に入れても痛くないほどかわいいし、イライラしてる私を静かに許してくれている夫にも感謝しています。別の人が夫だったら、とっくに家族は解散になっていると思います。
「おはよう、おやすみ、いってらっしゃい、ただいま」など、言う人がいることは幸せなこと。手抜き料理でも「おいしい!」と言ってくれる夫がいるのも、幸せだなと思います。夫が息子にも「ウマッ!」という言葉を教えて、言葉を覚え始めた息子も料理を食べて「ウマッ」と言ってくれる。とても可愛くて嬉しいです。本当に本当に2人には感謝しています。
今年の私の目標は、「イライラしない!」そして、「家族の時間を大切にする!」。夫の協力も不可欠なので、一緒に頑張ろうねという思いと、自分の決意を固めるために。そして、イライラママでごめんねという思いを込めて、家族にお花を贈りたいです。
お花に興味のない夫と、すべてが「人生初めて」な1歳の息子。家族で見てワクワクするようなお花だと嬉しいです! あとは、イライラな私が癒やされるお花もあれば。これからも、こんなママをよろしくね。理想とは違っても大好きな家族でいてください。

花束をつくった東さんのコメント
理想通りにはいかない現実に振り回されているご自身を反省しつつ、感謝の気持ちとともにご家族に贈るお花です。リクエストの通りお気持ちが少しでも静まるように、ホワイトとグリーンのお花をミックスしたふんわりナチュラルなアレンジメントに仕上げました。
フリージアやスイトピーなど香りのある春のお花や、清涼感のある香りのユーカリ、また動きのあるお花を加えて、お子さんを囲んだ賑やかなご家庭の様子をイメージしています。つぼみが花になるなど、変化のある花材も使いました。
お子さんも、ご自身も成長していくこの日々を、愛おしく思う日がいつかくると思います。そのときにまたこのアレンジのことを思い出してくれるとうれしいですね。




文:福光恵
写真:椎木俊介
こんな人に、こんな花を贈りたい。こんな相手に、こんな思いを届けたい。花を贈りたい人とのエピソードと、贈りたい理由をお寄せください。選んだ物語を元に東さんに花束をつくっていただき、花束は物語を贈りたい相手の方にプレゼントします。その物語は花束の写真と一緒に&wで紹介させていただきます。
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