トランプ氏の強硬姿勢、中国には「好機」 識者が期待する日本の役割

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聞き手・牧野愛博
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 1月20日に発足した米国の第2次トランプ政権は、中国に極めて強硬な姿勢を示しています。日本国際問題研究所が昨年末に発表した「戦略アウトルック2025」で、「不確実性の高まる米中関係と台湾海峡情勢」を執筆した飯嶋佑美研究員は、「中国側はむしろ外交的な好機と捉えている」と語ります。

 ――トランプ大統領は中国製品に60%の関税を課す考えを示しています。

 中国はいち早く、第2次トランプ政権の誕生を予測し、入念に準備をしてきました。中国側の識者の論考や意見交換では「トランプ政権の方が、(大統領選を戦ったハリス前副大統領よりも)予測可能性が高い」と答える人もいました。通商問題に集中するため、ほかの問題で中国の自由度が高まるという考え方です。中国は米国による関税措置への対抗措置の検討も重ねています。

 一方、中国側は、第1次トランプ政権との通商交渉で「米国にはそれなりの柔軟性があった」と分析し、第2次政権でも交渉の余地があることを期待しています。米国経済に大きな打撃を与えるため、トランプ氏が言及する対中措置がすべて実行されることに懐疑的な見方も出ています。米中通商戦争が本格化し、米中経済が低迷すれば、世界や日本の経済にも影響が及ぶでしょう。

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 ――戦略アウトルックで「米中間のコミュニケーションチャンネルは激減することが予想される」と指摘していました。

 中国の識者の多くは、トラン…

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この記事を書いた人
牧野愛博
専門記者|外交担当
専門・関心分野
外交、安全保障、朝鮮半島
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