性暴力と戦う元世界チャンピオン 空手通してトラウマ癒やすには
空手の元世界チャンピオンのフランス人女性が性暴力被害にあった女性のトラウマを、空手を通して癒やす取り組みを進めている。7月26日に地元で開幕するパリ五輪を機に、世界の人にも理解が広まって欲しいと願う。
ローレンス・フィッシャーさん(50)は1998年、2006年の空手の世界選手権で優勝した。引退後にノーベル平和賞受賞者の婦人科医デニ・ムクウェゲさん(69)の講演会に参加。ムクウェゲさんはアフリカのコンゴ民主共和国で性暴力被害にあった女性の心身をケアする「パンジ病院」を設立した経験を踏まえ、国の実態を語った。
性暴力が「戦争の武器」に
同国内では1990年代後半から鉱物資源をめぐって激しい内戦が続く。戦闘員は敵対する民族の女性をレイプし、性器を傷つけて子を産めなくしたり、エイズに感染させたりして、性暴力が「戦争の武器」として使われている。
衝撃を受けたフィッシャーさんは定期的にパンジ病院に通い、空手を通して、被害者をケアした。最初は、目つきが悪く、急に呼吸ができなくなったり、筋肉をうまく使うことができず尿を漏らしたりする女性が、呼吸を整え、筋肉を意識しながら空手をすることで、自らの体の感覚や自信を取り戻していく。
「この国で音楽セラピーはすでにあったが、スポーツセラピーはなかった。被害を受けた体に意識を持っていってトラウマを癒やし、自尊心を取り戻すことを目指した」と振り返る。
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