【そもそも解説】災害関連死とは 70歳以上、3カ月以内の死亡多く

鈴木彩子
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 地震や津波による直接的な死は免れたのに、その後の生活で命を落としてしまう「災害関連死」。過去の大災害でも繰り返し起こり、その大半は70歳以上の高齢者が占める。災害関連死とは何か、解説する。

 Q 災害関連死とは。

 A 地震や津波などによる直接的な原因ではなく、災害によるけがや避難生活による健康状態の悪化が原因で亡くなることを言う。2016年の熊本地震では、地震による直接の死者数50人を上回る218人が命を落とした。そのうち約8割が70歳以上の人だった。

 11年の東日本大震災では、これまでに3794人の関連死が認定されている。このうち、復興庁が発生から1年後の2012年に分析した1263人について見ると、約9割が70歳以上の人だった。

 Q 関連死が起こる時期は。

 A 過去の災害では、およそ8割の人が3カ月以内に亡くなっている。熊本地震では、1週間以内に亡くなった人は24%、1カ月以内が57%、3カ月以内が81%。東日本大震災では、上記1263人のうち1週間以内が18%、1カ月以内が48%、3カ月以内が78%だった。

 Q 何が原因で亡くなるのか。

 A 死因は、肺炎や気管支炎などの呼吸器疾患と、脳卒中などの循環器疾患が多く、合わせて全体の6割を占める。

 背景となる要因としては、東日本大震災では「避難所などにおける生活の肉体的・精神的疲労」が最も多く、「避難所などへの移動中の肉体的・精神的疲労」が続いた。また、熊本地震では「地震のショック、余震への恐怖による肉体的・精神的負担」が最も多く、次いで「避難生活の肉体的・精神的負担」が大きかった。

 持病があったり、要介護認定を受けていたり、薬を飲んでいたりする「既往症のある人」は、熊本地震では9割弱、東日本大震災では6割強にのぼった。

 Q 防ぐために大切なことは。

 A 病院や高齢者施設で亡くなるケースが多いが、熊本地震では、震災前と同じ自宅で亡くなった人が全体の4割弱を占めた。能登半島地震でも、自宅にとどまっている高齢者が多数いるとみられ、被災者の全体像の把握が急務だ。

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この記事を書いた人
鈴木彩子
くらし報道部
専門・関心分野
医療・健康、脳とこころ、アレルギー
能登半島地震(2024年)

能登半島地震(2024年)

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