「日本人も皆とりこに」 ブラジルに革命を起こした送金システム
電子決済に革命を起こした――。そう呼ばれる送金システムが、ブラジルにはある。4月にサンパウロに赴任して以降、私が最も驚き、便利に感じているものの一つだ。導入から2年も経っていないが、既に国民の6割が使用している。その名は「PIX(ピックス)」。人気の理由を探ってみた。
かるべ・りひと 1987年生まれ。東京社会部などを経て4月からサンパウロ支局長。ツイッターは@rihito_karube
人口1200万人を誇る南米随一の大都市、ブラジル・サンパウロ。国内外の企業がオフィスを構えるビジネス街では、お昼時になると近くのレストランやファストフード店を目当てに、多くの人々があたりを行き交う。
7月下旬のある日、ブラジルの伝統的なスイーツ「ブリガデイロ」を売る小さな屋台があった。一口食べると、チョコレートをさらに甘くしたような濃厚な味が口の中に広がる。のどが渇くが、とてもうまい。様々な種類のブリガデイロは一つ3レアル(約80円)で、次々と売れていく。そして、多くの客がこう聞いているのが分かる。
「PIX使える?」
屋台を出しているエウシオ・フォンセカさん(30)は「もちろん」と応じ、自らの携帯電話番号を伝える。10秒後には支払いが完了し、客はブリガデイロを手に立ち去る流れだ。
フォンセカさんによると、客の約6割がPIX、4割がクレジットかデビットカードでの支払いだという。現金を使う人はほぼいない。
PIXは、銀行口座間の素早い送金を、24時間365日可能にする決済システムだ。
使い方は、至って簡単。各自…
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