スピーチ、震えて頭が真っ白に…そんな時は「コピペとカンペを駆使」
悩みのるつぼ 相談者
50代女性です。社員20人ほどの職場で事務をしております。1年ほど前に転職し、パートから正社員になりました。私の年齢で正社員として勤められることに感謝しているのですが、ひとつ悩みがあります。
毎朝10分ほど朝礼を行い、当番が持ち回りで3分ほどスピーチをする時間があるのです。内容は自由。日々の出来事、政治、ランチ情報、なんでもOKです。しかし、これが曲者です。お題が決まっていないスピーチほど難しいことはありません。自由にスピーチができる人は、話がうまい人だと思うのです。現に皆さんは起承転結のある興味深い話をされます。
あがり症の私は、皆の前に立つだけで手足は冷たく、呼吸が浅くなり、声も震えて頭が真っ白になります。自分でも何を話しているのかわからなくなるほど緊張してしまいます。終わった後には自己嫌悪の波が押し寄せてきて、どっと疲れ、終日仕事どころではありません。
本番だけならまだしも当番の1週間ほど前から緊張のあまり夜中に何度も目が覚めて、眠れなくなります。終わった途端次のスピーチのことで頭がいっぱいになってしまう私はどうしたらいいでしょうか。うまく話せるようになりたいなどというぜいたくな希望はありません! 普通に話せるようになりたいのです。真剣に悩んでいます。よろしくお願いします。
回答者 文筆業・清田隆之さん
会社側の意図はわかりませんが、「持ち回り」で「内容は自由」という点から考えるに、スピーチは始業前のウォーミングアップみたいな位置づけのものではないかと想像します。とはいえ、仮にそうであっても「あがり症」を自認する相談者さんにとって心身に負荷のかかる一大事であることに変わりありません。
相談文からは相当な苦しみが伝わってきます。何を話せばいいかわからず、スピーチの構成にも困り、発話中はパニック状態に陥っている。聴衆の反応を見ながら「私の話なんて誰も興味ないだろう」と心がフリーズしているかもしれないし、3分がものすごく長いものとして体感されているかもしれない。また、他の人と比べては劣等感や無能感に苛(さいな)まれている可能性もある。「緊張」や「自己嫌悪」という言葉で表現されているものには多種多様な困難が含まれているはずで、しかもそれが断続的に続いていくとなれば、仕事や健康に支障をきたしても無理ありません。では、どうしたらいいのか。
最後に「普通に話せるようになりたい」とありますが、これはおそらく「頭が真っ白になることなくスピーチを終えたい」という意味ですよね。本来であれば無理をする必要はなく、事情を伝えて免除してもらうのが理想ですが、それはそれで新たな気がかりになってしまうかもしれない。そこで提案したいのが「フォーマット」の構築です。
具体的には「毎回○○の話をする」と予(あらかじ)めテーマを決めておく。そして本やネットに載っている説明をそのまま借用し、カンニングペーパーを作っておく。この「○○」の部分はなんでもいいと思いますが、例えば四字熟語やことわざ、地名や植物など、事典になっているものだとネタ切れの心配もなさそうです。
一説にニュース原稿は1分間で300文字程度が目安とのことで、ゆっくり話すとして3分で750文字。資料からコピペしてその文字数を埋め、本番では「話すのが苦手なので○○を紹介します」と伝えた上でそれをただ読む。ひとつひとつの手順を指さし確認するようにこなしていくことで自動的にスピーチが終わるようになれば、抱えている不安も少しは軽くなるだろうし、原稿を読むことだけに集中できればパニックも回避できるかもしれません。
フォーマットを作り、すべてを自動化する。コピペとカンペを駆使し、自分で考える部分を可能な限り減らしていくのはいかがでしょうか。
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