海運業界の危機に挑む 船員の宝庫フィリピンで次世代育てる日本企業
世界経済の生命線といわれる海運業界で、日本企業が船員育成の最前線に立っている。舞台は、最大の船員輩出国フィリピン。二つのアジアの島国が、目前に迫る世界的な人材不足の波に挑む。
首都マニラ近郊のダスマリニャス市にある商船大学「MOLマグサイサイ・マリタイム・アカデミー(MMMA)」で2月、卒業式が開かれた。
晴れの舞台に立ったのは、約130人の若者たち。その1人、アリッサ・エバスコさんは「日本の高い技術とリーダーシップを学べたことは幸運でした。将来は船と船員の命を守るリーダーとして、世界で活躍したい」と語った。
MMMAは、商船三井が現地の船員供給会社マグサイサイグループとの共同出資で、2018年に開校した。実際の船内のシステムを再現した操船シミュレーターや舶用ディーゼルエンジンの実機など、最先端の訓練設備を備える。外航海運の船で、将来的に船長や機関長に昇進する航海士や機関士を、年間約300人のペースで育成する。
世界では、国際貿易の9割を海上輸送が担っているとされる。中でも島国の日本は輸出入の100%近くを船舶に頼る。
だが、国際海運会議所(IC…
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