一時保育、電源ワイファイも 無料コワーキングスペース 神戸市整備
【兵庫】神戸市が整備する、一時保育サービス付きのコワーキングスペースが人気だ。利用は全て無料。女性の就業率アップを狙う。3日に市内3カ所目がオープンした。
「あすてっぷコワーキング」という名前で2021年9月に中央区の市男女共同参画センター内、24年8月に西区のユニバープラザ内にオープンした。そして、東灘区の六甲アイランドにある神戸ファッションマート内に新設された。
いずれの施設も利用時間は、月~土の午前9時~午後8時で、予約制。市内在住または市内で働く女性、小学生以下の子どもと一緒に利用したい男性も使える。電源コンセントとWiFiが整備されていて、パソコンの貸し出しもしている。キッズスペースのほか、生後6カ月~就学前の子どもを対象とした一時保育サービスもある。
利用登録者数は昨年末時点で約1200人で、30~40代が7割を占める。利用の延べ人数は年々伸びていて、22年度は約3千人、23年度は約4400人。今年度は12月末時点で約3900人という。
市は、出産・育児で仕事を離れた後も、復帰したり新しい仕事に就いたりすることを応援するため整備した。
神戸市の女性の労働力率は2020年の国勢調査で51.6%で、全国の54.2%と比べてやや低い。年々改善傾向にあるものの、子育て期の女性の労働力率が落ち込む「M字カーブ」現象がある。市としては、新型コロナが流行し、リモートワークが世間に浸透したことからコワーキングスペースのニーズを見込んだ。
利用者の目的は様々だ。仕事終わりに資格取得の勉強をしたり、育休中に職場復帰に向けた準備をしたり。フリーランスの仕事場や、就職活動の作業場として使う人もいる。
神戸市中央区のメーカー会社員、辻村真衣子さん(32)は現在、育児休業中に利用している。2歳の長女を一時保育サービスに預けている。復帰後に仕事の幅を広げ、昇進にもつなげたいと資格取得や英語の勉強をしている。
民間の一時預かりサービスを使ったこともあるというが、子どもを預けた後に自分がゆっくり作業できる場所を探す必要があり、お金もかかる。「自宅で子どもと一緒だと勉強が中断されることもあるが、ここなら集中して計画的にできるし、勉強の習慣づけにもなった」と話す。
スペースには英語や保育の知識をもった「コミュニティマネージャー」がいて、交流会を開くなどして利用者同士をつないでいる。勉強や仕事のアドバイスももらえる。就労に関するセミナーやキャリア相談もある。辻村さんは、利用者同士で幼稚園や家事の時短方法などについて情報交換したという。
市男女共同参画課の田中純子さんは「多様な女性の希望する働き方を応援する施設。ここから一歩踏み出してがんばってほしい」と話す。
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