陶磁人形「はち丸」を応援した観光の達人 須田さんに学んだ産業観光
まるい顔に、頭には長い髷(まげ)をのせた陶磁製人形「はち丸」。2010年の名古屋開府400年に誕生したキャラクターの「瀬戸ノベルティ」だ。この人形製作を応援したのが、産業観光の先駆者でJR東海初代社長を務めた須田寛さんだった。企画した「瀬戸ノベルティ文化保存研究会」(愛知県瀬戸市)代表の中村儀朋さん(74)は、昨年12月に93歳で亡くなった須田さんを「瀬戸ノベルティの恩人」と呼ぶ。
「世界中で愛された瀬戸ノベルティは、瀬戸が誇る特産品です」。大正期から1990年代にかけて愛知から米国や欧州に盛んに輸出された陶磁製の置物や人形「瀬戸ノベルティ」について、須田さんはこんな言葉で評価していたという。
「はち丸」の人形は、戦後の一時期に日本の輸出産業を牽引(けんいん)した瀬戸ノベルティの高い技術力を知ってもらおうと同会が企画し、地元メーカーが製作した。「名古屋市に相談したら、『コピーライトのマークを入れてくれればいい』と、意匠の利用を無償で承諾してくれた」と中村さんは振り返る。
開府400年PRソングのオルゴールつき500体と単体1千体の計1500体を製作した。しかし、販売ルートのあてもなく、売れ残る不安もあった。そこで中村さんが相談したのが、07年に同会が発足する前から交流があった須田さんだった。
当時、JR東海相談役だった…
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