【そもそも解説】「最後の安全網」生活保護申請のハードルとは?
群馬県桐生(きりゅう)市で問題になっている生活保護は、社会保障の「最後のセーフティーネット(安全網(もう))」と呼ばれています。失業や病気などで暮らしが行き詰(づ)まったとき、憲法が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を守るための仕組みです。しかし制度への誤解や偏見(へんけん)が根強く、生活保護の対象になるはずなのに制度を使っていない人も数多くいます。利用を阻(はば)む壁(かべ)になっているものは何か、解説します。
Q どんな人が申請(しんせい)できるのか?
A 預貯金などの資産を使っても、国が決めた「最低生活費」を収入が下回る場合に利用できる。最低生活費と収入の差額が保護費として支給される。申請や相談の窓口になるのは自治体の福祉(ふくし)事務所だ。最低生活費を計算するための基準額は厚生労働大臣が決める。地域や年齢(ねんれい)、世帯の人数によって変わってくる。
例えば、東京23区に住む60代後半の単身世帯の場合、食費などの生活費をまかなう「生活扶助(ふじょ)」の支給額は月約7万8千円(冬季加算含(ふく)む)となっている。
Q 保護費の内訳は?
A 支給されるお金は8種類ある。食費や光熱水費などの「生活扶助」、家賃にあたる「住宅扶助」、義務教育の学用品費などをまかなう「教育扶助」、医療(いりょう)費用の「医療扶助」、介護費用の「介護扶助」、出産費用の「出産扶助」、就労に必要な技能習得費などをまかなう「生業扶助」、「葬祭扶助」がある。
Q 若くても申請できる?
A 申請に年齢の制限はない。住まいがないホームレス状態の人も、近くの福祉事務所で申請できる。「持ち家があると申請できない」というのも誤解だ。居住用の持ち家は保有が認められる場合がある。
通勤に不可欠な自動車、自営業の店舗(てんぽ)なども、売却(ばいきゃく)処分しないまま生活保護を受けられる場合がある。
厚生労働省は「生活保護の申請は国民の権利」だとして、必要なときは、ためらわず相談するよう呼びかけている。
Q どれぐらい利用されているのか?
A 利用者は2008年のリ…
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