陸上100m金のライルズ もがいた過去、子どもたちへのメッセージ

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ニューヨーク=遠田寛生
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 今でも、東京五輪の決勝で走る自分の姿を見返すことに抵抗がある。

 「当時は本当に苦しかったから」

 パリ五輪で陸上男子100メートルで金メダルに輝き、200メートル、400メートルリレーと合わせて3冠を目指す米国のノア・ライルズ(27)は、そう言った後、人なつっこい笑顔を浮かべた。「もうあの時の自分ではないけどね」

 五輪初出場となった2021年夏、200メートルで金メダル最有力候補とされながら銅メダルに終わった。レース終了後は涙を流した。

 新型コロナウイルス対策で人と会えず、さまざまな重圧もあった。精神状態が安定せず、抗うつ薬を飲んでいたことも明かした。

 無観客で静まりかえった国立競技場もマイナスに響いた。注目されるほど力が出るタイプ。レース前後にパフォーマンスで観客を盛り上げることも大事にする。楽しみにしていた日本の観客との「交流」ができず、気持ちが上がりきらない。「何もかもが難しかった」

 あれから3年。

 順調に成長してきた実感がある。

 ハンガリーで行われた昨季の世界選手権では3冠を達成。パリ五輪でも達成すれば、陸上男子では2016年リオデジャネイロ五輪のウサイン・ボルト(ジャマイカ)以来、米国では1984年ロサンゼルス五輪カール・ルイス以来の快挙だ。自己ベスト19秒31を持つ200メートルでは、今度こそボルトが持つ世界記録(19秒19)の更新を狙っている。

かっこいい一面じゃなくても

 走り以上に、自身の生き様を多くの人に知ってもらいたい。「弱さも見せていきたい」と語る。

 ともに大学で陸上選手だった…

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この記事を書いた人
遠田寛生
スポーツ部
専門・関心分野
大リーグなどスポーツ全般、アンチドーピング