「情報が入らない」焦りにじませた珠洲市長 「陸の孤島」で見た実態

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西岡矩毅
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 元日の夕方に能登半島を襲った地震の発生から、18時間後。石川県災害対策本部員会議に、珠洲市の泉谷満寿裕(ますひろ)市長がオンラインで出席した。

 会議での市長の説明に、衝撃が広がった。

 「壊滅的な状況。住宅の全壊は1千棟ほどでているのでは、という感触がある」

 「救急救助、昨日の夕方から行っているが、未対応が50件ほどある」

 「安否確認すらできないところもある。非常に厳しい状態」

 道路は寸断され、電話もほとんど通じない。能登半島の先端に位置する珠洲市の被害の様子は当時、ほとんど知られていなかった。それがこの市長の言葉で、危機的な状況にあると伝わってきた。

能登半島地震の被害状況を取材するため、多くの記者が被災地に向かいました。現地でみた光景、首長や被災者から聞いた話、記者が感じたことをお伝えします。

 その実態を取材し、伝えていくため、記者(28)は3日午前5時半、水や食料、雨具、毛布などを車に積み込み、金沢市から現地に向かった。

「県と国に言ってくれよ。ひどいもんだよ」

 まずは、海岸沿いに半島を一周し、「能登半島の大動脈」と呼ばれる国道249号を走った。

 しかし、走り始めて5時間半…

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    永田豊隆
    (朝日新聞記者=貧困、依存症、社会保障)
    2024年1月17日14時52分 投稿
    【視点】

    能登半島地震では「孤立」という言葉が頻繁に使われます。 「孤立」とはどんな状態で、そこに生きる人はどんな思いでいるのか。入社6年目、28歳の記者による迫真のルポが具体的に描いています。 被災前から高齢化と人口減が進んでいた。公共交通網が

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