なぜ日本だけ「戦後」が続くのか 米教授が指摘「長い終わり」のいま

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聞き手・池田伸壹
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 「世界でいまだに『戦後』が続いているのは日本だけ」。それはなぜなのか。人類史的な転換に立ち会っているという私たちは、この先の「戦後100年」に向けて、どう生きるべきなのか。現在も精力的に世界各国の「戦争の記憶」について比較研究を続ける歴史学、アジア研究の世界的権威の米コロンビア大学教授、キャロル・グラックさんに聞きました。

     ◇

 いまも1945年からという長い「戦後」が続いているのは日本だけでしょう。

 もちろん、多くの国が「今年は戦争終結80年」を記念するでしょうが、「敗戦」でも「終戦」でもなく、「戦後80年」と表現するのが日本の特徴でしょう。日本以外の多くの国では、戦後は何十年も前の1950年代に終わっています。

 1956年度の経済白書が「もはや『戦後』ではない」と述べ、80年代に中曽根康弘首相による「戦後政治の総決算」、21世紀に入ってから安倍晋三首相の「戦後レジームからの脱却」に至るまで、「戦後の終わり」が繰り返し強調されましたが、「戦後」はまだ続いています。

 なぜ21世紀の第2四半期に入ろうとしても、日本人は現在を「戦後日本」と呼び続けるのでしょう?

戦争の記憶と「戦後」という響き

 なによりも日本国民が「戦後…

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    辻田真佐憲
    (評論家・近現代史研究者)
    2025年4月22日21時57分 投稿
    【視点】

    日本人の多くは、「戦後が長い」とはあまり思っていないのではないでしょうか。日本は歴史が長いので、80年ぐらい「一時代にすぎない」と受け止めている節があります。また、人は往々にして、自分の生きている時代を「大きな変換期」と位置づけたがるもので

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