相互関税13時間後の大転換 トランプ氏が無視できなかった「警告」

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ワシントン=榊原謙
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 トランプ米大統領は9日、「相互関税」として導入した新関税について、国・地域別に上乗せした税率を90日間にわたり「一時停止」すると発表した。13時間ほど前に全面発動させたばかりだった根幹部分の大転換。いったい、何が起きたのか。

 ほぼ全世界に対して一律10%をかけた「相互関税」の第1弾に続き、第2弾となる国・地域別の関税上乗せの発動を数時間後に控えた8日夜。トランプ氏は共和党議員を前にした演説で「どうか、どうか、取引を成立させてください。何でもしますから」とふざけて言うと、会場から笑いが起きた。

 関税措置の軽減を米政権に懇願する各国首脳の様子の物まねをしたのだった。「彼らは我々に電話をかけてきて、私の尻にキスをしている」などと下品な言い回しも使った。

 巨大な米国市場を抱える優位性をテコに、関税という道具を使って、各国を思うように屈服させる――。トランプ氏が自らの「取引の芸術」(レビット報道官)に酔っていたようにも見える瞬間だった。

 だが、そんなトランプ氏の陶…

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この記事を書いた人
榊原謙
アメリカ総局|米国経済担当
専門・関心分野
米国経済、世界経済
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    佐橋亮
    (東京大学東洋文化研究所教授)
    2025年4月10日16時44分 投稿
    【解説】

    トランプ政権の政策決定で重要な役割を果たすのが株式や債券の市場であり、また経済閣僚(財務長官と商務長官)が重要な説得役になる構図は前回とあまり変わっていません。しかし、最後の決断までに行き着くプロセスにおいて、たとえばピーター・ナバロ顧問(

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    大川千寿
    (神奈川大学法学部教授)
    2025年4月10日18時15分 投稿
    【視点】

    関税や安全保障をめぐる第2次トランプ政権発足後の米国の動きは、米政権の変化とそれに翻弄される各国という構図で理解できる面もあるのかもしれませんが、実は、米国の国際秩序における影響力の相対的な低下の中で、それを踏まえた外交政策が前任のバイデン

    …続きを読む
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