第2回同盟国にも容赦ない関税 瓦解寸前のG7、まかり通る「力の論理」

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ハノーバー=寺西和男
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連載「閉じゆく世界 トランプ関税の衝撃」

トランプ米大統領の高関税政策が世界を大波乱に陥れています。超大国が内へと閉じていく中、世界はこのまま危機に向かうのか。人々の暮らしへの影響は。トランプ関税がもたらす衝撃を多角的に掘り下げます。

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 トランプ米大統領が「相互関税」を発表する直前の3月30日、ドイツ北部で開かれた世界最大級の産業見本市「ハノーバーメッセ」は、関税の影響を懸念する企業幹部らの声であふれていた。

 演説に立ったドイツのショルツ首相は「米国に言いたい」と切り出し、「欧州の目標は依然として(米国との)協力だが、選択の余地を与えないのであれば欧州連合(EU)は一致団結して対応する」と強く牽制(けんせい)した。だがその訴えは届かず。3日後、トランプ氏はEUに対して20%の相互関税を打ち出した。

 欧州最大の経済国ドイツにとって、米国は輸出全体の1割を占める最大の輸出相手国だ。独Ifo経済研究所は、米国の関税措置で今年の国内総生産(GDP)が0.3%分押し下げられると試算。すでに自動車産業の不振などで低迷する経済に追い打ちとなり、1990年の東西ドイツ統一後初の3年連続マイナス成長が現実味を帯びてきた。

 関税発動後、ショルツ氏は「…

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この記事を書いた人
寺西和男
ベルリン支局長
専門・関心分野
欧州の政治経済、金融、格差、ポピュリズム
トランプ関税

トランプ関税

トランプ米大統領の高関税政策が衝撃をもたらしています。金融市場は動揺し、貿易摩擦は激しさを増しています。世界経済は危機に向かうのか。暮らしにどんな影響を与えるのか。最新ニュースをまとめてお伝えします。[もっと見る]