「マグロかんだ」今年も定置網侵入 50人かんだイルカ、京都に迫る
石川県珠洲市に現れた野生イルカが福井県美浜町まで南下しながら、2020~24年に遊泳者50人以上をかんだ問題で、このイルカが今年に入り、さらに約30キロ南の福井県小浜市まで活動域を広げていることが分かった。記者が夜の定置網漁に同行し、網に出入りするイルカの様子を確認した。
海底地形が複雑な小浜市の宇久(うぐ)漁港。4月7日午前4時25分、記者が船に乗り込むと、目の前で水しぶきが上がった。「ブシュッ」という呼吸音とともに灰色の背びれが水面に浮かんだ。
急いでカメラを向けると、ファインダー越しに背びれの切れ込みが3カ所見えた。尾びれにも2カ所、欠損があった。かみ癖がついた例の個体と一致する特徴だ。浅瀬を好むミナミハンドウイルカの雄とみられる。
イルカは船のエンジン音に反応し、出発まで港内で待っていた。船が出ると後を追い、引き波に乗ってジャンプした。定置網が張られたポイントまで12分。イルカはポイントに着くなり、身をよじってロープを越え、網の中に潜っていった。
定置網漁師の浦谷俊晴さん(56)によると、イルカは3月8日から断続的に出現。「魚を追い散らし、メジマグロの尻尾をかんだ」という。
この日の水揚げはアジやイカなど150キロと振るわなかった。イルカがいなかった2日前、マグロ24本で約40万円を売り上げたのとは対照的だ。浦谷さんは「漁業被害だけでなく、これから始まるワカメやサザエの素潜り漁でけが人が出ないか心配だ」と語る。
人工物、怖がるはずが……
イルカの特異な行動は、これで終わらなかった。
イルカは定置網の巻き取りが…
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