ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇が死去、88歳
ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇(88)が21日、死去した。ローマ教皇庁(バチカン)が発表した。3月に肺炎の入院治療をいったん終えて退院後、療養を続けていた。12年に及ぶ在位中、貧しい人や弱者に寄り添い、世界の平和を訴えた。
バチカンの発表によると、教皇は21日午前7時35分、バチカン内のサンタマルタ館にある自室で息を引き取った。死去を発表したファレル枢機卿は「教皇は私たちに、最も貧しく、最も疎外された人々を助けながら、忠実さや勇気、普遍的な愛をもって生きるよう教えてくれた」と惜しんだ。
教皇は世界で最も小さい国家であるバチカン市国の元首。後継者はカトリック教会の高位聖職者にあたる枢機卿の互選による選挙「コンクラーベ」で決まる。
フランシスコ教皇の本名はホルヘ・マリオ・ベルゴリオ。1936年12月17日、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで生まれた。首都近郊の神学校で学び、イエズス会に加入。神学教師を務めた後、98年にブエノスアイレス大司教に就任した。前任のベネディクト16世が2013年に健康問題で約600年ぶりに生前退位したため、南米出身者として初めて教皇に選ばれた。
19年には来日し、長崎・広島の被爆地を訪れて核兵器廃絶を訴えたほか、東京で東日本大震災の被災者と面会するなどした。
フランシスコ教皇は今年2月14日に気管支炎の治療のために入院して同月18日に両肺の肺炎と診断された後、2度にわたって命が危ない状態に陥った。3月23日の退院後は、医師からバチカン内の自宅で2カ月間の療養を求められていた。死去前日の20日には、バチカンのサンピエトロ大聖堂に姿を現し、復活祭の行事に集まった信者らに「よい復活祭を」と呼びかけていた。
自伝によると、教皇は20歳だった57年11月にインフルエンザの悪化で発症した感染症のため、右肺の一部を摘出しており、若い頃から健康問題に向き合ってきた。近年は手術や入退院を繰り返していたが、昨年9月には東南アジアと南太平洋の計4カ国を就任以来最も長い12日間の日程で訪問。世界の平和や他宗教との対話を求めて、晩年まで精力的に活動を続けた。
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- 【視点】
世界平和の行方、とりわけトランプ政権下で変貌するアメリカに大きな懸念を持ちながら最後の日々を過ごされたのではないだろうか。先週土曜日、フランシスコ教皇はバチカンを訪問していた米副大統領JDバンスとの公式会談を拒否し、代わりにピエトロ・パロリ
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