石川・輪島の総持寺祖院が重文へ 萬福寺は国宝に 文化審議会が答申
文化審議会は18日、萬福寺(まんぷくじ、京都府宇治市)の主要建物を国宝に、能登半島地震で被災した総持寺祖院(石川県輪島市)など6件を重要文化財に新たに指定するよう、文部科学相に答申した。
萬福寺は禅宗の一つ、黄檗宗(おうばくしゅう)の大本山。境内にある重要文化財の16棟のうち、本堂にあたる大雄宝殿(だいおうほうでん)、法堂(はっとう)、天王殿(てんのうでん)の計3棟が国宝になる。
黄檗宗は江戸前期に中国の高僧・隠元隆琦(いんげんりゅうき)が開いた。寛文年間(1661~73)に建てられた3棟は、明清期の中国仏教建築の手法を採り入れた独特の様式。煎茶など黄檗宗が影響を及ぼした生活文化も象徴し、文化史的に意義深いと評価された。
総持寺祖院は、大祖堂や山門など16棟が指定される。明治時代の大火で曹洞宗大本山・総持寺が横浜市に移った後、別院として再興された。
2007年の地震で受けた大きな被害から復興したものの、元日の能登半島地震で再び被災した。今回の16棟は被害が少なかったが、全壊した禅悦廊(ぜんえつろう、回廊)などは指定を見送る。文化庁によると、被災前から指定を視野に入れていたという。担当者は「復興のシンボルとして支援したい」と話す。
「華道」などが登録無形文化財に
また、文化審議会は、「華道」と「手揉(も)み製茶」を登録無形文化財にすることも求めた。
華道は、草木や花などを伝統的な技法と様式で花器にいけること。保持団体に認定された日本いけばな伝統文化協会(大阪市)は、全国107流派の家元らが正会員になっている。
手揉み製茶は、煎茶などを手作業で作り上げる技で、大正時代に確立された。保持団体として手もみ製茶技術保存会(静岡市)が認定され、高度な技を持つ茶匠や師範が全国の産地で活動している。
登録無形文化財は21年に新設された制度で、同年に登録された「書道」と「伝統的酒造り」は、ユネスコの無形文化遺産の登録をめざしている。
金剛峯寺・瀬戸内海歴史民俗資料館なども重文へ
ほかの重文の新規指定は次の通り。
旧村井家別邸(長楽館)(京都市東山区)▽金剛峯寺(和歌山県高野町)▽金剛峯寺金堂及び根本大塔(同)▽瀬戸内海歴史民俗資料館(高松市)▽鞍埼(くらさき)灯台(宮崎県日南市)
■総持寺祖院「復興の大きなき…
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