知床観光船事故3年 家族と町、慰霊碑協議がようやく出発点に
追悼式を前に、乗客の家族と山内浩彰町長ら町幹部4人が非公開で話し合った。今後、事故を語り継ぎ、慰霊のモニュメントを建立することについて協議を重ねていく方針を確認した。
町側の説明によると、建立の主体は町ではなく、家族と協議を重ねて形式を探る。この日は、家族側と町側の双方の窓口となる担当者を決めた。
家族の中には「慰霊碑」という言葉を使いたくないという人もおり、地元住民の間でも、この言葉に抵抗感を持つ人がいるという。名称も今後の課題となる。
昨年も追悼式に併せて話し合いの場があり、慰霊碑も議題に上がった。だが、その後、協議は開かれなかった。
山内町長は、追悼式後の取材に対し「1年の空白を作ってしまったことは、申し訳なかった。積極的にご家族にアプローチできなかった。猛省している」と話した。
知床観光船事件被害者弁護団代表の山田廣弁護士は、「追悼や気持ちの収め方は、一人ひとりでプロセスが違う。慰霊碑はそのきっかけとなる」と指摘する。
この日は、家族と町の間で「共通認識のレールが敷かれた」という。ようやくスタートラインに立った。
息子(当時7)と元妻(同42)が行方不明のままの帯広市の男性(52)も参加した。「建設的な話し合いができ、前進した」と評価する。
男性は「奥まった場所にあっても、行く人がいないとだんだん風化してしまう心配がある。多くの人の目に触れる場所につくってほしい」と願う。
斜里町には、沈没事故をきっかけに全国から集まった寄付金による基金がある。その活用も含めて検討を進めるという。
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北海道・知床観光船沈没事故
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