長丁場の名人戦、冷静だった藤井竜王 第1局先勝した意義は…
杉本昌隆八段の「棋道愛楽」
去る4月9日は統一地方選挙でした。この時期、毎日のように出会った選挙カーですが、名古屋では、しばらく見納めでしょうか。
恥ずかしながら若い頃は政治にあまり興味がなかったのですが、今は見逃した国会中継も動画配信などで見るようにしています。
日本将棋連盟も改選の年です。会長を6年務められた佐藤康光九段の退任、そして、後任を決める役員予定者予備選挙に羽生善治九段が立候補され、非常に大きな話題になっています。
ここまで将棋界を牽引(けんいん)された佐藤会長に敬意を表します。
2023年度最初のタイトル戦、渡辺明名人に藤井聡太竜王が挑戦する第81期名人戦第1局は4月5、6日に東京都内のホテル椿山荘東京で指されました。
名人戦は持ち時間9時間と、将棋のタイトル戦では最長です。消費時間のペース配分をどうするか? これを初めて体験する藤井竜王の指し回しに私は注目していました。
開始直後の9手目に渡辺名人の趣向の一手が出て、初日から力戦となったこの将棋。若い藤井竜王の研究を外し、経験不足を突く狙いもあったでしょうか。
しかし藤井竜王は冷静でした。
終盤までほぼ互角ながら、指…