第6回コロナで決めた生活保護受給 手放された犬は、ほえる気力もなかった

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江戸川夏樹
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 保護とはなんだろう。

 名古屋市で20年以上、犬を保護する活動をしている「DOG DUCA」の高橋忍さん(59)は考え続けている。

 コロナ下で在宅勤務が増え、時間をもてあましている。人と会えなくてさみしい。心や時間の隙間を埋めようと、ペットへの関心は高まった。

 だが保護施設には、思ったよりほえる、思ったより走る、思ったより排泄(はいせつ)をする。そんな理由で、「保護してください」と数カ月の犬を連れてくる人も増えた。

 しつけの努力もせず、たった1週間飼っただけで連れてくる人もいた。「保護ではなくて、『捨てる』の間違いでは」。そんな言葉をのみ込み、愛情がみじんも感じられない飼い主から犬を引き離す。

 だが、あの日出会った女性は違った。

 2021年4月、女性は小さなマンションの一室で、ミニチュアダックスフントを抱きしめていた。数日前、犬を保護して欲しいと連絡してきた。

「この子を保護して」 別れ際の女性の表情は

 40代独身。親に先立たれ…

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    太田匡彦
    (朝日新聞記者=ペット、動物)
    2023年1月19日10時53分 投稿
    【視点】

     犬や猫などのペットが、人にとってどんなに支えになるか。この記事のエピソードから、切々と伝わってきた。  10年ほど前のある時期、諸事情からひとり暮らしをしていたことがある。でもそこに1匹の犬と、1匹の猫がいて、私を支えてくれた。2匹がい

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