(ひととき)北風が運んだ記憶

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 玄関ドアを開けた瞬間、思い切り、北風小僧のパンチを受けた。郵便受けをのぞきに出ただけなのに。郵便物を取って、あわてて家の中に入る。煮物を作っていたガス台の上の鍋に冷たい手をかざした。

 手が温かくなったころ、突然、いつか同じことがあったような気がした。とても奇妙な気分になってしばらくぼーっとしてい…

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