消費減税派におされ…財政規律派の野田氏豹変 「財源に責任」と強調

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大久保貴裕 笠井哲也 真海喬生 岡林佐和
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 主要な与野党は13年前、「社会保障と税の一体改革」で消費税の増税に合意した。その中心を担った立憲民主党野田佳彦代表が時限的な「食料品ゼロ%」に転換した。参院選を前に与党内にも減税論が強まり、持続可能な社会保障制度を維持できるのか、懸念が広がる。

 「私は『社会保障と税の一体改革』を推進した『ザ・当事者』。最終責任者だ」

 立憲の野田佳彦代表は25日の記者会見で、民主党政権の首相時代の2012年に道筋をつけた消費増税に自ら言及した。その上で今は物価高が喫緊の課題であるとし、「まさに値上げラッシュ。将来世代をおもんぱかる政治を進めたが、今を生きる人たちの暮らしも大事だ」と今回の食料品ゼロ%に理解を求めた。

 だが、党内では「豹変(ひょうへん)」(中堅)との受け止めが広がる。首相時代に「将来世代につけを回してはいけない」と訴え、民主党分裂を招きながら消費増税を推進。昨年9月の立憲代表選でも「一回下げてから上げることが可能か」と消費減税を否定していた。

 それだけに野田氏は、食料品ゼロ%を赤字国債に頼らない時限的措置にとどめ、代表選で訴えた「給付付き税額控除」(消費税還付制度)を将来的な目標として掲げ続けると強調。「これまで言ってきたことと一貫性、整合性のある政治判断だ」と主張した。

 実際は党内の減税派に圧(お)されての表明だった。「年収の壁」などで国民民主党に話題をさらわれ、党勢が上向かない中、野田氏は地方集会に出向くたびに消費減税の直談判を受けた。減税派の勉強会への参加議員は全体の3割を超え、野田氏に近い議員たちも減税に転じ始めた。

「悩み、困り、悶絶し、七転八倒」

 こうした緊張状態の中、枝野…

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この記事を書いた人
岡林佐和
経済部
専門・関心分野
税と社会保障、ジェンダー平等政策
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    上西充子
    (法政大学教授)
    2025年4月26日7時48分 投稿
    【提案】

     野田代表は昨日の会見でも「消費税の逆進性対策で最も有効な方法というのは給付付き税額控除の実現」「あくまで給付付き税額控除の実現が、われわれの目標」と語っていました。そうであるなら、給付付き税額控除とはどういう仕組みであるのか、それは消費税

    …続きを読む