「消費税は社会保障財源」崩れる恐れ 食料品ゼロ%案、アリの一穴に

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聞き手・西尾邦明
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 立憲民主党が夏の参院選の公約として、今後1年間は「食料品の消費税率をゼロ%」に引き下げる方針を明らかにしました。長引く物価高への対策として妥当なのでしょうか。第一生命経済研究所の熊野英生・首席エコノミストに聞きました。

 ――立憲の食料品の消費減税をどう評価しますか。

 「政府の物価高対策で、手が届かなかったのが食料品です。世帯が使ったお金のうち食費の割合を示すエンゲル係数は約30%まで上がり、43年ぶりの高水準です。多くの国民の不満が集中しており、こうした提案が出てくることは理解できます」

 ――賛成ですか。

 「いいえ。一時的とはいえ『アリの一穴』になりかねません。『社会保障財源だから消費税は下げられない』という堅牢な理屈を打ち破る小さな穴が、今回の提案ではないでしょうか。ただ、ここで政府が政治的に妥協して受け入れれば、減税派からの攻撃はもっと苛烈(かれつ)になり、食料品以外の消費減税が広がりかねません。別の知恵を絞る必要があります」

物価高を加速させる可能性

 ――具体的にはありますか。

 「例えば、コメの高騰対策で…

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この記事を書いた人
西尾邦明
経済部|金融担当
専門・関心分野
金融、財政、原発・エネルギー政策