トランプ氏の「独裁者の典型的なカード」とは コスタリカ元外相語る

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聞き手・牧野愛博
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 ロシアのウクライナ侵攻やトランプ米政権の高関税政策などにより、世界が揺らいでいます。国際人権団体、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)のチーフ・アドボカシー・オフィサーのブルーノ・スターニョ・ウガルテ氏(元コスタリカ外相)に、活動拠点の一つである欧州への影響などを聞きました。

 ――パリにも自宅があるそうですが、欧州の雰囲気はどうですか。

 国によって状況はかなり複雑です。ウクライナや中東、北アフリカ・サヘル地域で起きているすべての紛争に、もっとも弱い存在の民間人が巻き込まれています。欧州諸国が安全保障を強化する場合、その中核に民間人の保護が据えられるべきですが、欧州諸国の中で合意が得られていないようです。(ウクライナを侵略する)ロシアや(パレスチナ自治区ガザへの攻撃を続ける)イスラエルに免罪符を与えたい国もいます。サヘル地域への対応についても、欧州諸国は割れています。

 ――バルト三国やフィンランドは、対人地雷禁止条約から離脱する方針を示しました。

 条約離脱は非常に嘆かわしい決定です。対人地雷で特に恐ろしいのは、民間人と正当な軍事目標を区別できない兵器だということです。

 2024年の報告書によれば、23年に地雷で死傷した人の83%が民間人で、37%が子供でした。対人地雷禁止条約からの離脱は意味がなく、他の国々が同じような行動をとる非常に悪質な前例を作り出します。

 日本は(締約国会議の議長国として)とても重要な役割を担っています。できるだけ多くの国が(条約順守という)非常に明確なメッセージを発信する必要があります。

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ウクライナにとどまらず、パレスチナ情勢や台湾、北朝鮮、サイバー空間、地球規模の気候変動と世界各地で安全保障が揺れています。現場で何が起き、私たちの生活にどう影響するのか。のべ340人以上の国内外の識者へのインタビューを連載でお届けします。

■バンス氏の発言、「欧州に与…

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この記事を書いた人
牧野愛博
専門記者|外交担当
専門・関心分野
外交、安全保障、朝鮮半島