米国との関税交渉、先駆けた日本は「モルモット」 各国メディア報道
赤沢亮正経済再生相が世界に先駆けてトランプ米大統領と関税交渉に臨むと、各国のメディアは日米交渉について相次いで報じた。日本を「(実験用の)モルモット」などと位置づけ、各国がトランプ氏の交渉姿勢を推し量る上での先行例になるとみる報道が目立った。
AP通信は、トランプ氏が関税協議に自ら出席した理由について、「中国が(各国との間で)独自の合意を進めようとする中で、(日本などとの間で)多数の貿易協定を迅速に締結したいという彼の意欲の表れだ」と指摘。今回の交渉が、トランプ氏の「ディールメーカー(交渉の達人)」としての評判を左右するテストになると伝えた。
APはまた、日本が米国と長年の同盟関係にあるとも指摘。今回の交渉について、トランプ政権が同盟国などを安心させられる合意を導けるかどうかの「重要な指標になる」とも論評している。
ロイター通信は日米の交渉について、米国が各国に譲歩する意思があるかどうかを測る「試金石」になると報じている。英フィナンシャル・タイムズ紙も、日本が各国の関税交渉にとって「(実験用の)モルモット」になっていると例えた外交関係者の発言を紹介した。
また、AFP通信は経済専門家の分析を引用し、日米の交渉について「(危険を事前に知らせる)炭鉱のカナリア」だと評した。この専門家は「日本が合意を得られれば、たとえ不完全なものであってもそれがひな型になる。何も得られないなら(各国は)覚悟が必要だ。他の国々は(米国との)協調ではなく、対立を前提に(交渉の)値踏みを始めるだろう」と分析した。
AFP通信によると、日本企業が米国に大規模な投資をしていることから、日米交渉の行方を市場も注目していたという。今回、日米は早期に交渉をまとめることで一致。17日の日経平均の終値は節目の3万4000円台を回復するなど、香港やシンガポールといったアジアの代表的な株価指数が軒並み上昇した。トランプ政権の関税政策が緩和されるとの期待感が、市場の不安を和らげたとAFPは報じた。
一方、トランプ政権との間で、日本と同様に関税や米軍の駐留経費が懸案となっている韓国。地元メディアは今回の日米交渉を速報で報じ、「韓国にとっても意味のある『参考資料』になるとして注目されていた」と伝えた。
韓国メディアによると、崔相穆(チェサンモク)経済副首相兼企画財政相が来週、主要20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議に出席するため訪米する予定で、韓国政府はその際に米側と関税問題についても協議することを目指しているという。
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