第6回「はぁ?」と妻を小馬鹿にするフキハラ夫 30年仕えた代償と気づき

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編集委員・岡崎明子
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 自分も不機嫌ハラスメント(フキハラ)をしていた。

 首都圏で暮らす女性(59)がそう気づいたのは、夫のフキハラから逃れ、アパートで一人暮らしを始めた2年前のことだった。

 大学を卒業後、女性は自己啓発セミナーの講師として働いていた。だが仕事が忙しすぎ、ストレスからパニック障害を発症して退職した。

 そんなときに再会したのが、高校の同級生だった夫だった。

 端正な顔立ちで、誰からも好かれる人気者。数年ぶりに会った彼は、相変わらずいい人だった。でも、そこはかとなく「影」を感じた。

 「この人を助けてあげたい」

 なぜかそう思った。猛アタックの末、つきあうことになり、数カ月後には妊娠。26歳で結婚し、娘2人と息子に恵まれた。

 女性のパニック障害は続いていた。「公園に連れて行かなきゃ」「夕飯の買い物しなきゃ」と思うと、不安で動けなくなる。

 子どもを風呂に入れるのも、健診に連れていくのも、公園で遊ぶのも夫の役目。子育てのほとんどを、夫が担うことになった。

 「だから夫は私に、絶対的なパワーを持つようになりました」

 夫はもともと、結婚には乗り気ではなかった。そんな事情もあったのか、次第にフキハラという形で女性を苦しめるようになった。

DV家庭で育った夫、ゆがんだ家族像

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この記事を書いた人
岡崎明子
編集委員|イチ推しストーリー編集長
専門・関心分野
医療、生きづらさ、ジェンダー、働き方
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    杉田菜穂
    (俳人・大阪公立大学教授=社会政策)
    2025年4月24日12時26分 投稿
    【視点】

    人はみな他人に依存しながら生きるもののような気がする。それでも、“共依存”と概念を知ったことで問題を抱える人に支援者が過剰にのめり込んで自分を見失うほどの“共依存”に陥っている自分に気づいたという人もいる(この記事に「ようやく気づいた『共依

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    仲岡しゅん
    (弁護士)
    2025年4月24日12時45分 投稿
    【視点】

    「フキハラ」なるものに関するこの連載を時々目にしては、私は複雑な心境になっていたのですが、その複雑な心境のありかについて雑感を述べようと思います。 私も含め、誰しも機嫌の良いときばかりじゃないんですよね。 機嫌の良い時もあれば、不機嫌な時

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