選挙で流れる偽・誤情報 英専門家が語る「欧州が成功した対応策」

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聞き手・牧野愛博
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 ウクライナ戦争や米大統領選などを巡り、偽・誤情報が飛び交っています。ソーシャルメディアやAI(人工知能)の発達もあり、様々な分野への影響が懸念されています。何が起きているのか。日本が取るべき対応は。英キングス・カレッジ・ロンドンのオーファー・フリッドマン上級講師に聞きました。

 ――SNSなどの発達で偽・誤情報に対する懸念が強まっています。

 相互接続と情報生産の民主化を実現したソーシャルメディアは、ゲームのルールを完全に変えました。かつては政府や新聞、テレビが情報の生産者でしたが、ソーシャルメディアは、誰もがチェック・アンド・バランスなしに情報を発信することを可能にしました。

 私はこの(SNS)空間に流れているものを情報と呼びません。ソーシャルネットワークは、情報を提供する場ではなく、人々をつなぎ、自分の感情を表現できる娯楽として設計されているからです。

 この状況を利用し、特に外国の悪意のあるアクターが、ソーシャルメディアに侵入し、人々の考えや感情を変えようと試みています。中国やロシア、イラン、北朝鮮、非政府組織などです。

 ロシアや中国による情報キャンペーンを分析すると、必ずしも誰かを洗脳しようとしているわけではありません。気候変動や民族間の不平等、経済格差などについて、社会の最も弱い部分や特定層の不満を利用し、社会を両極化させようとしているのです。

 トランプ米大統領は米国社会の深い分裂の結果、生まれたのです。これこそ、ロシアがしてきた活動の目的だと確信しています。

【連載】読み解く 世界の安保危機

ウクライナにとどまらず、パレスチナ情勢や台湾、北朝鮮、サイバー空間、地球規模の気候変動と世界各地で安全保障が揺れています。現場で何が起き、私たちの生活にどう影響するのか。のべ300人以上の国内外の識者へのインタビューを連載でお届けします。

■活発に情報発信している在京…

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この記事を書いた人
牧野愛博
専門記者|外交担当
専門・関心分野
外交、安全保障、朝鮮半島
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    藤田直哉
    (批評家・日本映画大学准教授)
    2025年2月10日11時0分 投稿
    【提案】

    偽情報による工作、それによる分断や分極化、社会や国を機能不全にさせる攻撃は本当に深刻で、本文にあるように、AIの能力が上がっていくこれから、日本でも本当にシビアな事態を引き起こすことになると思われます。ファクトチェックやリテラシーの向上はも

    …続きを読む