運動嫌いが五輪に吸い寄せられた訳 心臓病と彼女の死と数奇な人生

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後藤遼太
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 運動は大嫌い。スポーツを見るのも、楽しいとは思えなかった。

 それが今は、スポーツ大会のボランティアが生きがいになっている。我ながら、「不思議な人生」と思っている。

 横浜市の佐藤繁樹さん(51)は、生まれた時に心臓に先天性の病気があった。手術費集めと病院探しのため、会社員だった父は職を辞めて一家で宮崎県から神奈川県に引っ越した。

 幸い病気はそれ以上悪化せず、3歳ごろには手術も必要なくなった。ただ、激しい運動はできない体になった。

 「小学校では、足の速い子がエラいでしょ。もう、体育が本当に嫌になりましたよ」

 20歳の成人式の朝、父は佐藤さんが幼い頃の話をした。費用の工面など手術を受けられるように支えてくれた人たちがいたのだという。「だから、お前は社会に恩返ししなさい」。改まって言われたが、当時はピンと来なかった。

彼女と過ごした3日間 翌朝、街は燃えていた

 1994年1月、職場の先輩の付き合いでスキーに行き、3歳上の女性と知り合った。明るく前向きで社交的で、恋に落ちた。気取らない居酒屋で、一緒に酒を飲むのが楽しかった。

 すぐに彼女は神戸に転勤にな…

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この記事を書いた人
後藤遼太
東京社会部|メディア・平和担当
専門・関心分野
日本近現代史、平和、戦争、憲法