第8回「悪魔の電波が」乱れる手紙 袴田さんの姉「残された時間長くない」
田中恭太 村上友里
袴田巌さんは逮捕後の1967年から死刑確定後までの20年超、獄中から家族らに手紙を出し続けていた。司法への期待と絶望、獄中での日々、そしてむしばまれていく精神――。数千枚の手紙からその半生をたどる。
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1980年代、冤罪(えんざい)の可能性が指摘されていた複数の死刑確定事件で再審が開かれ、無罪判決が続いた。だが、同じように冤罪と訴えてきた袴田巌さん(87)に、大きな動きはなかった。変わらず、収監先の東京拘置所で連日、手紙をしたためる日々が続いた。
このころ、姉の秀子さん(90)に連日届いた便箋(びんせん)には、日記のように日付と天気が書かれ、刑務所内の生活や再審請求、キリスト教、ボクシングへの思いなどがつづられていた。
そんな中、文面には異変が見え始める。
【直筆を見る】袴田巌より 獄中からの手紙
獄中から家族らに無実を訴える手紙を出し続けた。司法への期待と絶望、周囲の支援、獄中での日々、そしてむしばまれていく精神。手紙からその半生をたどる。
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