第16回「あの日の約束、守り続けてる」 ランタンに託す8千キロ超える願い
大滝哲彰
8月の太平洋に夕日が沈み始めていた。
静かに流れる川に、手作りのランタンがいくつも放たれた。
内側の光が美しい琥珀(こはく)色の輝きを見せると、ランタンに描かれた文字や絵がくっきりと浮かび上がった。
「Peace(平和)」
「NO MORE WARS(戦争はいらない)」
「ひとつの世界 みんな友達」
まるで原爆の日に広島と長崎で開かれる「灯籠(とうろう)流し」のようだが、違う。
ここは、日本から8千キロ以上離れた、アメリカ西海岸・カリフォルニア州バークリー。
毎年8月、ランタンに反核や平和への願いを込めて川に流す「ピースランタンセレモニー」が20年以上も開かれている。
いったい、なぜ?
セレモニーを始めた平和活動家のスティーブ・フリードキンさん(68)は言う。
「大切なことを教えてくれた女性との約束があるんです」
教えられた「戦争のリアル」
女性は伊賀孝子さん。第2次…
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