藤井聡太竜王の弱点は? 木村一基九段と佐々木勇気八段の名人戦展望
渡辺明名人(38)に藤井聡太竜王(20)=王位・叡王・棋王・王将・棋聖と合わせ六冠=が挑戦する第81期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)が5日、東京都文京区で開幕する。渡辺名人には4連覇、藤井竜王には名人獲得の最年少記録と史上2人目の七冠がかかる。将棋界の枠を超えて注目を集める七番勝負の見どころはどこか。両対局者とタイトル戦の経験がある木村一基九段(49)と初のA級昇級を果たした佐々木勇気八段(28)が語り合った。
――藤井竜王がA級順位戦で優勝し、名人初挑戦を決めました。
木村 今期は名古屋将棋対局場ができました。各棋士がそれぞれ1局は行ったでしょうね。そのこけら落としが佐藤康光九段と藤井竜王の一戦でした。安定した指し回しで藤井竜王が勝ったかなという感じです。佐々木さん、名古屋対局場は行きました?
佐々木 私は比較的遅めで1月でした。こういう場所にあるよとか、お弁当はこういうのがおいしいよとか、みんなの感想を聞きました。
木村 私もいろいろな人に聞きましたが、やっぱり行くと全然違いました。ただ、とても快適でした。
佐々木 私も素晴らしい環境だなと。
木村 早く対局が終わったら(東京に)帰れちゃうでしょ。あまりそういうことは考えませんでした?
佐々木 順位戦なので考えなかったですね。
竜王が敗れた2回戦で「あれ?」
木村 藤井さんの今期の順位戦の話に戻ります。菅井さんに負かされたのは菅井(竜也八段)さんのまさに名局だと思いました。早い段階で初黒星を喫して、それは普通の棋士ではよくあることですが、その後どう指していくのかなと。中にはペースを乱す人もいますからね。ただ、とても安定した内容だったように思います。作戦の多少のぶれとか、評価値のぶれとかはあるんでしょうけど、大雑把に言えば、ミスがとても少なくて、それが充実ぶりとなって表れている感じがしました。特に、角換わり腰掛け銀を多用して、まさに常に藤井竜王のペースで指していたのかなと感じました。徐々にエンジンが温まっているというか、調子が出ているなと思いました。
「本当に20歳なんですかね」と藤井竜王について、木村九段。「藤井竜王が指した手は疑問手と受け取らない」と佐々木八段。軽妙なやりとりは、やがて予想される戦型や勝敗にも及びます。
佐々木 藤井竜王は開幕前から…