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最高裁判官11人、全員を信任 国民審査

2021年10月21日 05時00分 (11月19日 11時38分更新)
 中央選挙管理会は一日、衆院選と同時に実施された最高裁判所裁判官の国民審査の投票結果を発表し、十一人全員が信任された。対象は二〇一七年十月の前回衆院選以降に任命された裁判官で、告示順に深山卓也、岡正晶、宇賀克也、堺徹、林道晴、岡村和美、三浦守、草野耕一、渡辺恵理子、安浪亮介、長嶺安政の各氏。
 有権者が罷免を求めた率が最も高かったのは深山氏で7・9%、次いで林氏が7・7%、岡村、長嶺両氏が7・3%。
 今年六月、夫婦は同じ姓を名乗ると定めた法の規定は違憲かどうかが争われた裁判の大法廷決定で、四人はいずれも「合憲」との結論に賛同した。罷免を求めた率が最も低かったのは安浪氏で6・0%。投票率は前回一七年よりも2・35ポイント高い55・69%だった。
 那覇市の開票作業で、投票者数が投票された用紙よりも約二百人分多く記録されるトラブルがあり、結果の判明が遅れた。

最高裁裁判官の国民審査 最高裁の裁判官は、任命された後最初の衆院選で審査を受け、その後10年を経た衆院選時に再審査される。有権者は、辞めさせたい裁判官の欄に×印を書き、有効投票の過半数となった裁判官は罷免される。何も記入しなければ「信任」とみなされ、×印以外の記入は全て無効となる。

最高裁判官11人、信条や過去の訴訟での判断は? 国民審査前にアンケート

 三十一日の衆院選と同時に実施される最高裁裁判官の国民審査に合わせ、共同通信は対象となる十一人の裁判官にアンケートをした。(1)最高裁裁判官としての信条(2)最高裁審理のインターネット中継など、開かれた司法のための工夫(3)裁判官十五人中女性は二人だが、妥当か−を聞いた。
 「憲法の番人」と呼ばれる最高裁裁判官十一人へのアンケートでは、夫婦別姓や同性婚という価値観の多様化を反映した訴訟への向き合い方や、無罪判決に対する抗議の「フラワーデモ」が広まり、処罰範囲を拡大するかどうかの議論が進む性犯罪について尋ねた。
 夫婦別姓を認めない法の規定を巡り、最高裁大法廷は今年六月、二〇一五年に続き「合憲」と判断し「国会で議論されるべきだ」とした。

夫婦別姓を認めない法規定が「合憲」と判断され、最高裁前で取材に応じる原告ら=6月23日


 その後、新たに四人が就任。このうち弁護士出身の渡辺恵理子氏は「子の福祉に配慮しながら、少数者の意見も尊重したい」と説明した。検察官出身の堺徹氏は「多様性を認め合うこと自体に否定的な考えは少なくなっている」との見方を示した。他の二人は「バランスが取れたよりよい判断ができるよう努力したい」(裁判官出身の安浪亮介氏)、「個別事件として熟慮し、意見を固める」(弁護士出身の岡正晶氏)とした。
 六月の決定で、現行規定は違憲だとの意見を表明した検察官出身の三浦守氏は「司法が担う責任を適正に果たすことが求められる」。合憲とした元消費者庁長官岡村和美氏は「価値観はさらに多様化していくと考えており、社会の変化に敏感でありたい」と答えた。
 性犯罪規定の見直しについて、弁護士出身の草野耕一氏は「犯罪の構成要件を広げるのは私生活に国家権力が介入する余地を大きくする。慎重な視点も大切だ」。外交官出身の長嶺安政氏は「処罰を免れたり、犯罪が繰り返されたりすることがないよう、方策が検討されていることを前向きに受け止める」とした。
 行政法学者出身の宇賀克也氏は「最近の一連の経緯から十分に教訓をくみ取り、議論が深められることを期待する」。裁判官出身者のうち深山卓也氏は「立法政策に関わるため、意見は差し控える」、林道晴氏は「被害者の気持ちや立場を十分に考えた審理裁判がされるように努めるべきだ」と回答した。
衆院選2021
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