「羅生門」騒動が背景に? 「現代の国語」教科書に想定外の小説
2026年度から主に高校1年生が使う教科書の検定では、評論や実用文を扱う「現代の国語」で小説を掲載する教科書が急増した。申請の教科書の半数が小説を載せて合格。文部科学省が小説の掲載を想定していなかった「現代の国語」で、なぜ増えたのか。
「現代の国語」は論説や紹介文、企画書や法令文などを扱う。しかし、この3月、発表された検定結果では、小説を載せた教科書は18点中9点。17点中2点の前回から大幅に増えた。
4社6点が定番教材の芥川龍之介の「羅生門」を掲載した。このうち、筑摩書房と桐原書店は検定後、大きく内容を変えた。どちらも小説を参考ではなく独立した教材として掲載し、教材の一部ではなく全体に対して「指導要領の示す『内容』に照らして扱いが不適切」との検定意見がついたからだ。
筑摩書房は当初、学習指導要領の「話すこと・聞くこと」「読むこと」「書くこと」の三つの狙いのうち、「書くこと」の前提として「羅生門」の主人公の下人の「世界観の転換となることばに注目しよう」と投げかけた。だが、それでは読解中心になってしまい、「書くこと」の教材としては扱いが不適切であるとの意見がつき、「臨場感が効果的に伝わる報告文(ルポルタージュ)を書こう」に修正。読む手がかりとして本文の下に設けた「『ある強い感情』とはどのような感情か」といった脚問も全て削除した。
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- 【視点】
小説をめぐる、教科書会社と文科省との息をのむような攻防。この記事自体がまるで小説のような臨場感に溢れており、興味深く読みました。小嶋講師の言うように、多感な高校生にとってプレゼンの訓練よりも小説をまるごと文学として味わい、内面で咀嚼する方が
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