値上げにあえぐホテル客の影でカルテル疑惑 価格決定に必要な情報は
訪日観光客の復活で宿泊業が活況にわく裏で、高級ホテル15社が価格カルテルにつながる恐れのある非公開情報を交換していた疑いが浮上した。公正取引委員会は業界全体で営業担当者らが集う会合が行われていたとみる。宿泊価格高騰の中で、消費者の思いに背く行為が続いていた。
都心にそびえる高級ホテル。その一室に都内のホテルの営業担当者らが月に1回程度集い、会合を重ねていた。
会場となったのは、皇居にほど近い中心部から浅草や台場、新宿に至るまでの15のホテル。今は「FR会」と呼ばれるこの会合は、回り持ちで会場を変えながら長年続いてきた。今後の客室の単価をどう設定するかなど、非公開で機微な情報がやりとりされた。担当者による情報交換は高級ホテルだけでなく、ビジネスホテルなど様々なホテルの間でも繰り返されてきたという。
その裏で、価格高騰にあえぐ利用客がいた。
兵庫県内の公務員の50代男性は今年1月、東京へ旅行した際、宿泊価格に驚いた。ビジネスホテルで1泊約2万円。以前の2倍近い金額だった。往復の交通費を含めると苦しく、横浜市内で安いホテルを探した。
この際は中国の大型連休「春節」に近く、訪日観光客が多い時期だったため、「仕方ないか」と諦めていた。だが、今月も上京しようとホテルを探したところ、価格の高止まりは変わっていなかった。東京近郊も軒並み値上がりしており、上京を断念した。5月に再挑戦する予定だが、日帰りを検討している。「価格の変化が大きすぎてついていけない」と漏らす。
横浜・鶴見のビジネスホテルに異変
「東京・新橋まで車でどれく…
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