突然のトランプ氏同席表明、日本に衝撃 議題に軍事支援費用「初耳」

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榊原謙=ワシントン 中島嘉克
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 「トランプ関税」をめぐる日米の交渉が本格化する。赤沢亮正経済再生相は米国に到着後、トランプ米大統領と向き合うことについて「ありがたいことだ」と記者団に語った。赤沢氏は対米投資の実績などを訴える方針だ。ただ、トランプ氏は関税や貿易だけでなく「軍事支援の費用」まで議題にする考えを明言しており、日本側は幅広い分野で厳しい交渉を迫られる可能性がある。

 16日早朝、トランプ氏は自身のSNSに突然、「私はその会合に出席する」と書き込んだ。日米が同日夕方に開く関税協議に自ら加わり、通商問題はもちろん安全保障分野にまで切り込む決意を示した。

 トランプ氏は10日の閣議でも、「我々は彼らを守るために何千億ドルも払う。他国のために全額を米国が負担する。日本は何も支払わない。もし米国が攻撃されても、日本は我々を守るために何もする必要がない」と持論を展開。在日米軍の駐留経費負担のあり方を問題にしてくるのは避けられなさそうだ。

 もともと閣僚級のはずだった協議に、トランプ氏が出席を表明するのはサプライズといえる。だが実は交渉役のベッセント財務長官は9日、「トランプ大統領は(各国との交渉に)自ら関与したいと考えている」と予告していた。

「カードの小出しはありえない」

 トランプ氏は9日、発動したばかりの相互関税の日本などへの上乗せ税率を、「90日間」にわたって一時停止した。これを「集中交渉期間」と位置づけており、最初の相手である日本との交渉の場を、今後の各国との交渉の「ひな型」にする狙いがあるとみられる。

 トランプ氏が「軍事支援の費…

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この記事を書いた人
榊原謙
アメリカ総局|米国経済担当
専門・関心分野
米国経済、世界経済
中島嘉克
経済部|経済産業省担当
専門・関心分野
デジタル、産業政策
  • commentatorHeader
    佐橋亮
    (東京大学東洋文化研究所教授)
    2025年4月16日22時42分 投稿
    【視点】

    トランプ大統領の出席表明により、完全にチーム日本の戦略は崩れているはずです。 そもそも今回、小さなカードを小出しにみせつつ交渉の始まりにする、程度の心づもりだったのではないでしょうか。 ベッセント財務長官が述べていた「最初に来るものは多くを

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  • commentatorHeader
    米重克洋
    (JX通信社 代表取締役)
    2025年4月16日23時32分 投稿
    【視点】

    関税をめぐっては「事務方や担当閣僚からのボトムアップの積み上げの交渉は通用せず、トップ同士で交渉しなければならない」という見方は当初から多かった。政界でも、国民民主党の玉木代表が石破首相に「すぐに訪米してトランプ氏と交渉を」と促していたよう

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