生殖補助医療法案、報告から20年以上経った末 議論は深まったのか

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聞き手・寺田実穂子
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 第三者の精子や卵子を使った生殖補助医療に関する法案が今国会に提出されています。20年以上前に国が立ち上げた専門委員会で議論された分野ですが、長く立法がされてきませんでした。

 そのとき何が議論されたのか。今回の法案は、その後の20年という年月を踏まえたものになっているのか。当時委員を務めた、家族法学者の石井美智子明治大学名誉教授に聞きました。

 世界で初めて体外受精による赤ちゃんが生まれたのは1978年のイギリスです。人為的に人を造り出すこと、つまり神の領域に踏み込むこととして大きな議論になりました。イギリスでは84年に出されたワーノック報告書に基づいて、90年に法律を作り、独立行政法人が生殖補助医療を監督・規制しています。ドイツフランスなど、欧米各国は委員会を設けて問題を調査・検討し、法規制をしてきました。

 他方日本では、法規制がされないまま、体外受精は夫婦の不妊治療として受け入れられ、日本産科婦人科学会の会告による規制だけで行われてきました。その後、医療技術が発展し、提供卵子を使う体外受精や代理出産などの生殖補助医療がどこまで認められるのかが問題となりました。

 遅ればせながら国が生殖補助医療について議論の場を設けたのが、私も委員を務めた、98年の生殖補助医療技術に関する専門委員会です。2000年の報告書では、代理出産は禁止、卵子提供は対価を受けないなどの範囲において認め、3年以内の法整備を求めました。それを受けてさらに詳しく議論した部会が03年に報告書を出しました。

 報告書では精子・卵子提供に…

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