「学術の終わりの始まり懸念」梶田隆章氏ら学術会議の歴代会長が声明

竹野内崇宏
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 日本学術会議を法人化する方向で政府が議論を進めていることに対し、学術会議の歴代会長6人が10日、岸田文雄首相に「政府主導の見直しを改めることを要望する」とする声明を発表した。前会長の梶田隆章・東京大卓越教授は記者会見で「日本の学術の終わりの始まりになることを強く懸念する。極めて危うい」と述べた。

 声明では、法人化の方針について、2020年に発覚した政府による会員6人の任命拒否問題を「正当化するためのものと疑われる」と批判した。

 また、会員選びに外部有識者が意見を述べる「選考助言委員会」を設ける案についても、「学術会議の独立性および自主性に手をつけるもの」だと懸念を表明。学術会議のあり方は、社会や、与野党を超えて国会で議論すべきだとの考えを示した。

 元会長らが声明を出すのは昨年2月に続き2回目。10日の会見で、広渡清吾・東京大名誉教授は「政府の議論を止めるためのものだ」と述べた。

 山極寿一・京大元総長も「政府の言うことを聞かなければならないというのはナンセンス。税金を使うからこそ、政府方針ではないことも、国民のために政府に提言するのが学術会議の役割だ」と語った。

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日本学術会議問題

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菅義偉首相(当時)が2020年、日本学術会議が推薦した学術会議会員候補のうち6人を任命しませんでした。学術会議は「学術の独立性」を掲げて反発。政府・与党は、論点をずらす形で組織改革を打ち出し、学術会議を法人化する法案を提出しています。関連ニュースをお伝えします。[もっと見る]