世界を「ホーム」に変えた 名伯楽をうならす銀メダリストのコミュ力
(23日、水泳世界選手権第6日)
初代表の22歳が、銀メダルまで一気に駆け上がった。
花車優(22=キッコーマン)。
3月の選考会で勝つまでは、ほとんど無名の存在だった。
男子200メートル平泳ぎ決勝。隣のレーンは、東京五輪の金メダリストで、5月には世界新をたたき出したイザーク・スタブルティクック(豪州)だった。
「自分と同じようなレースプランを描く選手。いいところでついていき、最後に上げる」
物おじするどころか、その狙いを完遂してみせた。
150メートルまで伸びのある泳ぎで、王者と一定の距離を保ち、余力を残した。
ラストスパート。スウェーデン選手との壮絶な2番手争い。ひとかきごとに、抜きつ、抜かれつ。最後のタッチ――。
同着で、銀メダルを分け合った。
予選、準決勝、決勝と着実にタイムを上げた。これも狙い通りだ。
「すごくよかった。今後の自信になる」
大胆なレースを展開したが、緊張はもちろんあった。夜の大舞台を前に、昼寝はあまりできなかった。
「でも自分はエントリー段階では8番で、初めての代表。チャレンジャーだ」
すぐ、平常心を取り戻した。
そんな花車のセルフマネジメントについて、平井伯昌コーチはこんな逸話を明かしてくれた。
5月上旬に渡欧し、スペイン…