増える防衛費、「裏付けとなる財政運営が不可欠」 財務省

有料記事

西尾邦明
[PR]

 財務省は20日の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の部会で、増え続ける防衛費の問題を取り上げ、安全保障上も財政を健全に保つ必要があると訴えた。有識者の委員からも、防衛費の財源確保などの議論を求める意見が相次いだ。ウクライナ情勢の悪化や中国の台頭、北朝鮮問題などで防衛費を増やす場合も、財政の悪化を防ぐ方策が必要だと強調する狙いがある。

 防衛関係予算は増加傾向で2022年度は5兆4千億円。財務省はこの日、ロシアによるウクライナ侵略などを受け、防衛力を強化するためには「裏付けとなる財政運営が不可欠だ」と指摘。防衛費を国債発行などに頼れば「それ自体が我が国の脆弱(ぜいじゃく)性になりかねない」と主張した。

 財務省は、北大西洋条約機構(NATO)の加盟国などが国防予算の拡大とセットで財政の健全化を進めていることを例示。ウクライナ情勢の悪化を受け、ドイツは防衛費の増額を決めたが、同時に財源を示していることや、スウェーデンも国防費増額の財源にたばこ税や酒税の引き上げを決めたことなどを挙げた。

 非公開の会合では、委員から「国の借金が増えて国の構えが弱くなるのはよくない」や「国力・経済力がなければ、いかなる兵器があっても役に立たない」などの意見が出たという。

 歳出改革部会長代理を務める土居丈朗・慶大教授は部会後の会見で「単に防衛力を強化しても他にしわ寄せがいけばつけ込まれる可能性がある。経済・金融・財政の総合力が問われる」と話した。

 防衛費を巡っては、政府が年…

この記事は有料記事です。残り132文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【春トク】締め切り迫る!記事が読み放題!スタンダードコース2カ月間月額100円!詳しくはこちら

この記事を書いた人
西尾邦明
経済部|金融担当
専門・関心分野
金融、財政、原発・エネルギー政策