ETC障害の原因、消去すべきデータが蓄積 後日払いの要請は継続

辻健治
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 中央道や東名高速などの料金所にあるETCレーンがシステム障害で使えなくなった問題で、中日本高速道路(NEXCO中日本)は22日、障害の原因がシステム内での送信データの破損だったと発表した。

 システム障害は6日午前0時半から約38時間続き、最大8都県、106の料金所でETCが使えなくなった。

 22日、名古屋市の同社で広域的なシステム障害への危機対応に向けた検討委員会が、非公開で2回目の会議を開催。システム障害の原因特定や、当面の対策について話し合った。

 同社はシステム障害の原因について、送信後にデータを自動で消去する機能がシステムに入っておらず、データが蓄積されて別のデータを圧迫。この影響により、通行車両のETCカードが使用可能か判定するデータが破損されたためと特定した。

 担当者は「このような事象を想定していなかった」と説明した。

 今回のシステム障害で、同社は料金所の渋滞を解消するため、通行料金を後日払いにする形で障害が生じている料金所のETCレーンを通過させる対応を取った。この間、使えなくなったレーンを含む料金所を通過したのは最大で96万台程度としている。

 22日までに後日払いの申し出をしたのは約3万6千件。未払いの利用者に対しては、期限を設けず支払いを呼びかけている。支払件数が全体の約4%弱にとどまっていることについては、「何も申し上げることはできない」と担当者は言う。

 同社は供用約款などに基づき、通行料金は「高速道路の利用の対価」として利用者が支払うとしている。渋滞や遅延への損害賠償責任は、「瑕疵(かし)があるかないかにかかわらず、補償する責任は負わない」としており、今回のシステム障害による渋滞・遅延も「補償の範囲外となる」との見解を示した。

 また、徴収できていない通行料金の取り扱いは「現時点で具体的に申し上げることはできないが、何らかの処理になると思う」と話すにとどめ、「引き続きお支払いの申し出をお願いしたい」と繰り返した。

 今回のシステム障害については、中野洋昌国土交通相が同社に対し、再発防止策や広域的なシステム障害への危機対応マニュアルをまとめ、6月中をめどに報告するよう求めている。

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