1歳のキリン「キリュウ」海外へ 愛知・豊橋生まれ、繁殖目的で譲渡
2023年8月、豊橋総合動植物公園動植物園(愛知県豊橋市)で生まれた、オスのキリン「キリュウ」(1歳)が、インドネシアの動物園に譲渡されることになった。東南アジア動物園水族館協会(SEAZA)から日本動物園水族館協会(JAZA)に繁殖目的での譲渡の依頼があり、キリュウに白羽の矢が立った。10月末に園を出て、貨物機でインドネシアへ渡る。13日に園で「お別れガイド」が開かれる。
輸送箱に入る訓練がまもなく始まるため、キリュウは獣舎のサブパドックで過ごしている。「もうすぐお別れだって」「ほかの動物園に移るんだね」。「お別れガイド」の貼り紙を見つけた親子連れがキリュウに見入り、別れを惜しんでいる。
キリュウが引っ越すバツ・シークレット動物園はインドネシア・ジャワ島東部の東ジャワ州にある動物園。2010年に開園し、300種以上の動物を飼育展示している。キリンの飼育はメス2頭のみで、キリュウとの繁殖に期待が寄せられている。
豊橋総合動植物公園によると、キリュウの父ウリュウと母ユララ、祖父母も国内の動物園生まれ。キリュウの「家系図」をたどっていくと、少なくとも曽祖父母から4世代、国内での繁殖が続いていることが確認できたという。
キリンは23年末現在、日本動物園水族館協会(JAZA)加盟55園館が197頭を飼育し、遺伝的多様性を保つため、その血統が管理されている。
キリュウの譲渡について、豊橋総合動植物公園の吉川雅己獣医師(52)は「国内だけの繁殖だと、遺伝的な多様性を保てない。今後は東南アジアの動物園を含めた繁殖を考える必要が出てくるだろう」と話している。
同園では昨年7月にも、同園生まれのジェンツーペンギンを繁殖目的でシンガポールの動物園「バードパラダイス」に譲渡されている。東南アジアへの飼育動物の譲渡は今回が2例目という。
- 【視点】
記事にあるように、動物園において絶滅危惧種の域外保全を進めるには、遺伝的多様性の確保は大きなテーマになります。基本的には、国内である程度の繁殖群が確保できていなければ、それは不可能です。ですから、「日本で初めて!」「国内で○○が見られるの
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