余命宣告も「人生、運がいい」 48歳、野球部監督が迎えた運命の日
20日のプロ野球・ドラフト会議で盛岡中央高の斎藤響介投手(17)が、オリックスから3位指名を受けた。最速152キロの直球が自慢の右腕だ。
同校の選手が指名されるのは、2005年の高校生ドラフトで楽天の3巡目指名だった銀次以来。2019年から同校野球部を指導している奥玉真大監督(48)は、教え子を初めてプロへと送り出す。
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「斎藤たちの学年は、僕がこの高校の監督をしていると知ったうえで入学してきた、最初の学年なんです。めちゃくちゃ運がいいですよ。ほんとに。僕の人生、本当に運がいい」
何度も何度も繰り返す「運がいい」という言葉。それはどこか、自分に言い聞かせているかのようだった。
宮城県気仙沼市で生まれた。大阪・PL学園高から東北学院大に進み、社会人野球でもプレーした。25歳で家業の酒屋を継ぎ、結婚。3人の子どもにも恵まれた。
2011年3月11日。
鉄筋コンクリート3階建ての公民館に、保育園児だった2人の娘、母、祖母と避難した。
東日本大震災による津波の後、あたり一帯は火事になった。自分たちにも火の手が迫った。
「2階まで津波がぶち抜いたので、3階に逃げていました。火がついた油が流れてきて、建物が燃えかけては、波が消す。その繰り返しでした」
3日後、自衛隊のヘリコプターで救助された。小学1年の長男と、高台の保育園に勤めていた妻も無事だった。
そのあとは、生きることに必…