「難しい問題が出たら、笑え」 リアル「ドラゴン桜」西岡壱誠さんが教える、勝つための方法

2025/01/16

累計45万部のベストセラー『東大読書』シリーズの著者であり、「ドラゴン桜』の監修者としても知られる西岡壱誠さんは、偏差値35から2浪を経て東京大学に合格しました。2025年1月からのTBS日曜劇場「御上先生」で新たに教育監修を務めるなど大活躍中の西岡さんに、受験への不安や緊張を軽くするための対策、難問への対応法、共通テストへの挑み方などについて聞きました。(※本記事は2024年12月、朝日新聞「Thinkキャンパス」平岡妙子編集長と行ったインスタライブを記事化したものです/写真=加藤夏子)

2浪決定後に変えたのは「性格」

――高3で偏差値35という状態から、2浪を経て東大に合格しました。現役時代とは違う勉強法や戦略などを身につけたのでしょうか。

西岡壱誠さん(以下、西岡) 勉強時間が長ければ、東大に受かるわけではないんです。そんなことを言ったら浪人すれば全員受かることになる。それよりも、きちんと戦略性を持たないといけません。でも、僕も最初はがむしゃらに勉強していたんです。人間って、焦ると戦略を失うもの。焦らず頑張る必要があったのですが、現役のときも1浪目もそれができていませんでした。

――勉強はしていたけどやり方がよくなかった。2浪目のときには、そのやり方を大きく変えたということですか。

西岡 勉強法を改善したというのもそうですが、一番変えたのは性格です。

――えっ、性格!? どう変えたのですか。

西岡 すごくシンプルで、現役のときも1浪のときも人に頼ることをしていなかったんです。でも、2浪目のときは東大に受かった友達をつかまえて、どんな勉強法をしていたのか、どうやってノートを取っていたのか教えてくださいと、頭を下げまくりました。高校の先生にも「東大に2回落ちたので、僕のダメなところを10個教えてください」と頭を下げました。

――うまくいった人のやり方をまねすることが大事だと気づいたのですね。

西岡 他人のやっていること、言っていることを素直に受け入れて、自分にはないものを学ぼうとする姿勢が必要だということですね。

難問が出たら笑ってみる

――受験直前期になると、不安や焦りを感じる受験生は多いと思います。焦らないためには、どうしたらいいでしょうか。

西岡 みんな焦るし、不安になるのは当たり前です。では、どうすれば不安が軽減されて緊張が消えるか。それは想定外の出来事をなくすことです。「今年の共通テストが難化していたらこうする」「もしおなかが痛くなったらこう対応する」などと、本番で起こったら困ることを書き出して、先生に聞くなどしながら対策法を考えていくんです。想定外のことをなくしていけば、人間は緊張しなくなります。一番よくないのは、難しい問題が出たときに「難しい、どうしよう」と思うこと。逆に点が取れる人は、「この問題はみんな解けないだろう」と思える人です。

――それはすごく大事ですね。難問が出たり緊張したりしたときは、どうすればいいでしょうか。

西岡 笑うことです。人は口角が上がると、笑いの感情が生まれます。ムスッとした顔でコメディー映画を見ても、脳波の中であまり笑いの感情が生まれず、笑顔で見ると笑いの感情が大きく出ることが脳科学的に証明されています。「難しい問題が出た」「大変な状況だ」となったら、笑顔です! みんなマスクしてる時期ですから、笑ってもヘンではないです。落ち着きますよ。

――ぜひ覚えておいてほしいですね。西岡さんから以前、「共通テストは一番初めの試験だけれども、一番特殊で過酷だ」とのお話を伺ったのが忘れられません。

西岡 共通テストでは毎年のように、過去最高に難しいと思われる問題がどこかで出てきます。25年度の共通テストでも1科目くらいは、変なことが起こるのではないでしょうか。そこで重要なのは、アベレージを下げないこと。100点満点で平均点が35点という難しい試験があったとして、35点になってしまう人と60点になる人がいます。その違いは明確で、35点になる受験生は「攻めよう、頑張って解かなくては」と難しいのに80点を狙うんです。60点の人は「いや、今年は難しいから守りだな」と判断し、「結構きついから60点でいいや」と戦略を変えています。そういう受験生は受かります。

――ポイントとなるのは、難しい問題にしがみつかないことなのか、それともできることを確実にやることなのか、どちらでしょうか。

 西岡 2つとも大事ですが、おすすめしているのは制限時間を自分で決めておくことです。本番前の今の時期に、各科目で1問にかける時間を明確に考えておきましょう。過去問や模擬試験などで「うわ、むずっ」となるのを体感しておくことも実はとても重要です。9科目もあったら25年度も1科目くらい変なことがありますよ。そう思っておくべきです。

(写真=インスタライブの様子)

涙を流せたら勝ち

――今回のインスタライブの「受験に落ちても大丈夫」というタイトルには、どういう気持ちを込めたのでしょうか。

西岡 受験には勝つべきです。合格できたほうがいいのは当たり前ですが、「合格できなかったらどうしよう」と思いすぎるとダメ。共通テストの前日に一番緊張しないのは、共通テストがダメでも、こっちの大学があると思えている人です。心に余裕がある人がやっぱりうまくいきます。

――でも、みんな必死で、落ちたくないと思っています。どうしたら心の余裕が持てるのでしょうか。

 西岡 「不合格になるかも」と不安になるぐらい頑張れている時点で、ギリギリまで戦っているし、成功ですよ。そこまで頑張った人は、合格したら嬉し涙を、不合格なら悔し涙を流します。泣くような受験をしたということは、それだけ頑張って高い目標に挑戦したということですから、その時点で、もう皆さんは勝ちです。合否を超えた、本当に大事なものをゲットしています。勝っても負けても涙が出ないような戦いをしている人が一番失敗です。

――不安を抱えながらも「合格したい」と挑戦している、そんな自分に「大丈夫」と言ってあげるといいんですね。

 西岡 それができているなら、もう99%は成功しているから大丈夫です。大きく成長します。

――改めて受験生へメッセージをお願いします。

西岡 風邪をひかないようにしてください。入試という勝負で一番大切なことは、勝負を投げずに戦いきること。それができないのが敗退です。戦って負けるならそれは本望。勝ったり負けたりできれば、絶対成功です。それができない状態になることを皆さんは心配するべきです。

――万全の状態で勝負に挑めるよう体調を管理しようということですね。この時期、一番不安に思っている親御さんに言ってあげられることはありますか。

西岡 うちの母は、毎年1月になるとおさい銭を握りしめて神社に行って祈っていました。それで母に「毎年合格を祈ってくれてありがとう」と言ったら、「はあ?」と。「あなたの合格を祈ったことは今まで一度もない。試験会場まで五体満足で風邪もひかずにたどり着ける、それだけを祈っていた」と。そして「合格、不合格は神様ではなくて、あなたの責任。そこに行きつくまでは私の責任」とも言っていました。母の存在には非常に感謝しています。皆さんもそんな親御さんであったら、お子さんは成長するんじゃないかと思います。

(写真=インスタライブの様子)

<プロフィル>
西岡壱誠(にしおか・いっせい)/偏差値35、2浪という崖っぷちの状況で開発した「暗記術」「読書術」「作文術」で偏差値70、東大模試で全国4位になり、東大文科二類合格を果たす。講談社「モーニング」で連載された「ドラゴン桜2」に情報提供をしており、日曜劇場「ドラゴン桜」の監修も務める。また全国の高校で「リアルドラゴン桜プロジェクト」を実施、高校生に勉強法を教えている。著書『「読む力」と「地頭力」がいっきに身につく 東大読書』(東洋経済新報社)は19万部のベストセラー。株式会社カンペ・ディエム代表。

 

>>「Thinkキャンパス」のInstagramはこちら

(文=小内三奈)

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【写真】「難しい問題が出たら、笑え」 リアル「ドラゴン桜」西岡壱誠さんが教える、勝つための方法

写真=インスタライブの様子
写真=インスタライブの様子

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